今日俺が一人で近所の公園でリフティングをしてたら・2巻
- 1 :monica :2005/07/10(日) 00:53:41 ID:VjwnvAsq0
- 前スレ
今日俺が一人で近所の公園でリフティングをしてたら
http://ex12.2ch.net/test/read.cgi/soccer/1105957924/
いきなり2人組の外人が俺のボールをかっさらって
「カモン、ボーイ」
と言って、笑いながら手でチョイチョイってやった。
俺はカチンときたのでボールを取りに行った。
ボールを保持してる外人はフェイントをかけるような仕草をした。
俺はあっさりとひっかかり、かわされた。
なおも取りに行こうとすると、外人はもう一人の外人にパスした。
それから俺はしばらく二人にもてあそばれて、一度もボールに触れる事が出来なかった。
10分ほどすると、外人は満足したのか俺にボールを渡して二人で高らかに笑いながら去っていった。
その後姿を俺は呆然と見詰めた。
お尻がプリッとした、可愛らしい女の子達だった。友達になりたいと思った。
ここから始まるサッカー選手の物語です
- 2 :U-名無しさん :2005/07/10(日) 00:54:17 ID:krBk8xvw0
- >>1
乙!
- 3 :U-名無しさん :2005/07/10(日) 00:55:19 ID:VjwnvAsq0
- まとめサイト1
http://monica.jog.buttobi.net/
まとめサイト2
http://web1.nazca.co.jp/hp/monica1/index.html
現在の作者さんは前スレの21さんです
現在急展開中ですが
予想はほどほどにマターリ行きましょう
- 4 :U-名無しさん :2005/07/10(日) 01:21:36 ID:YFvwFtJsO
- >>1乙
- 5 :U-名無しさん :2005/07/10(日) 11:42:21 ID:SfwhsHvW0
- 乙
- 6 :U-名無しさん :2005/07/10(日) 16:00:34 ID:DxFKnoTu0
- 1乙。モニカが終わったら俺も書いてみたい。
- 7 : ◆uhEquQJTRA :2005/07/10(日) 22:35:27 ID:fevnD2gU0
-
モニカが交通事故にあった、という知らせは
ワールドユースから日本に帰る飛行機の中で、小熊監督の口から俺に伝えられた。
その後の機内の記憶はない。普通に起きていたはずなのだが、何も覚えていない。
成田に降り立つと分厚い灰色の雲の下、雨が降っていた。
俺は手続きを済ますと、協会の人が手配してくれた車に乗って、
すぐさま埼玉へ、モニカの家へ向かった。
モニカの家に着き、車を降りると、そこは白黒の花輪が玄関の脇に並び、
黒い服を来たたくさんの人々でごったがえしていた。
俺は事態が飲み込めないまま、門をくぐり中に入る。
玄関の脇に岩崎監督とタカシが並んで立っていた。他のサッカー部の面々もいる。
岩崎は真っ黒のスーツに、そしてサッカー部の奴らは学ランを着て、
みな表情を失ったかのように立っていた。
その横にはなでしこジャパンのメンバーの顔も見える。
俺はみんなの前で立ち止まる。
ほんとなのか?嘘だろう?
あんなに元気な奴が、あんなにサッカーうまい奴が死ぬわけないだろう?
まだ17歳なんだぜ。17歳で死ぬなんてあり得ないよ。
- 8 :U-名無しさん :2005/07/10(日) 22:35:57 ID:fevnD2gU0
- 俺の足音に振り向くタカシ。唇をぎゅっとかんでいる。
そうきっとこれは俺をかついでるんだ。テレビでよくやるどっきりだ。
ここまで周到にやるなんてほんとに手が込んでいる。
そうだよな、タカシ。
お前、だまされたな。笑って俺にそういってくれ。
だが、俺の顔を見たタカシの表情はみるみるうちに崩れる。
目からは涙がこぼれだし、嗚咽と共にタカシは俺の両肩をつかんだ。
すべてが現実であることを悟った俺の体から力が抜ける。
膝が、腰が、もう力が入らない。
その場に膝をつく。ズボンを通して地面を濡らした雨の冷たい感触が伝わる。
なぜだ?どうしてなんだ?なぜモニカが死ななくちゃならないんだ?
体の中で何かが爆発する。俺は叫ぶ。絶叫する。
言葉にならない。俺のうめき声だけが、叫び声だけが、
静かな雨の降る日、この場所にこだましている。
- 9 :U-名無しさん :2005/07/10(日) 22:36:37 ID:fevnD2gU0
-
学校の帰り道、歩道を自転車で走っていたモニカ。
携帯で会話しながら運転していた車が、ハンドル操作を誤り、
車線をはずれガードレールに激突。歩道に乗り上げる。そこにモニカが居合わせた。
モニカの死について語ろうとすれば、それですべてが尽きてしまう。
告別式。俺は何も考えられずにただ椅子に座っていた。
前を見ると花に包まれた制服姿の白黒の写真。あの、いつもの笑顔だ。
きっと生徒手帳の写真だ、と俺は思う。一度見せてもらったことがある。
みんな手帳の写真といえばしかめつらしい顔をして写っているのが多いのに、
モニカのははち切れんばかりの笑顔。外国人らしいや、と感じたものだ。
その笑顔が黒い額縁の中から俺を見ていた。
そう何度もグラウンドで言葉を交わしたときと同じように。
違うのは写真の笑顔は永遠にその表情を変えないことだけだ。
モニカのお父さんがいる。テレビに出てきそうな、
典型的なアメリカのやり手のビジネスマンという感じだ。
逆にお母さんは、典型的な日本の優しい母親を絵に描いたような人だ。
- 10 :U-名無しさん :2005/07/10(日) 22:36:58 ID:fevnD2gU0
- モニカのご両親に会うのはこれがはじめてだった。
焼香に立つときご両親に挨拶する。俺が誰だかはわかったみたいだった。
俺は歩いてモニカの写真の前に立つ。
ワールドユースはもちろん日本でもテレビ中継されていた。
きっとモニカは俺の試合を見てくれていたはずだ。
もしかしたら、その脇にはご両親も一緒にいたのかもしれない。
そして、俺のことが話題に上ったかもしれない。
この男の子、一緒の高校なんだよ。
はじめて会ったとき、公園で一人でリフティングしてたんだ。
わたしがからかってボールを奪ったら、
むきになってとりにきたけど、私とらせなかったわ。
そんなふうに俺のことが話されたりしたかもしれない。
俺はじっとモニカの写真を見る。
モニカはここにはいない。いや、ここだけでなく世界中のどこにも。
もうモニカはいないんだ。
それが夢なんかじゃない俺が生きている現実だ。
俺が生きている現実。それはモニカが生きていない現実。
その現実を心の中で処理できずに俺は写真の前で立ち尽くす。
- 11 :U-名無しさん :2005/07/10(日) 22:41:13 ID:JWG2XbTZ0
- まだ続けるつもりか・・・
つーか、前スレのトリップは何?
- 12 :U-名無しさん :2005/07/10(日) 22:46:01 ID:4twm5MH30
- ああああああああああ
まじ泣きそう
- 13 :U-名無しさん :2005/07/10(日) 23:23:50 ID:luu/1riu0
- 乙です
゚ + 。・゚・。・ヽ(゚´Д`゚)ノ ゚゚。ウァァァン
>>11
色々言いたことある人もいるのかもしれないけれど、せめて最後まで見守るくらいの礼儀は守ってよ。
そんなに不満なら、読みにこなきゃよいだけなんだしさ。
- 14 :U-名無しさん :2005/07/10(日) 23:33:44 ID:n+xz2CH80
- >>11
みんなが望む方向ではない(モニカの死など)話になっていくことで、
21さんのなりすましではあるまいか?なんて言い出す人もいるだろうし・・・
そういった疑心暗鬼に陥る事を防ぐためじゃない?<トリップ
- 15 :U-名無しさん :2005/07/11(月) 00:14:00 ID:5/0bCZiW0
- 前スレの>1000がwww
・・・モニカは戻って来ないんだよ。・゚・(ノД`)・゚・。
- 16 :U-名無しさん :2005/07/11(月) 00:16:45 ID:f2UEHvDj0
- ますます携帯使いながらのドライバーに殺意が沸いてきたぜ
- 17 :U-名無しさん :2005/07/11(月) 00:21:03 ID:xkUOpMHU0
- 炎天下の中、車中に子供置いてパチンコに行く主婦にも殺意が沸くぜ
- 18 :U-名無しさん :2005/07/11(月) 17:21:04 ID:IwjBk/lZ0
- お前ら 携帯使いながら運転するなよ マジで!
俺も もう2度としない。
- 19 :U-名無しさん :2005/07/11(月) 21:13:59 ID:ncUOtkCc0
- 交通安全のお守り買ってあげたモニカが
よりによって交通事故でなんて…
- 20 :U-名無しさん :2005/07/11(月) 23:17:09 ID:K/s0dWyB0
-
俺はモニカの葬儀の後、三日ほど学校を休んだ。
ワールドユースの疲れ、帰りの長旅、時差ぼけ、そしてモニカのこと。
病気でもないのに、淀んだ沼の底に生える藻に
絡めとられたように俺の体は動かなかった。
一度、病院で点滴を打ってもらった後は、
ひたすら死んだように眠り続けた。
目が覚めても、俺はほとんどの時間をベッドの上で横になったまま過ごした。
力が入らず動けなかったのもあるし、動く必要もまたその気力もなかった。
暗闇の中ってこんなに落ち着くものなんだ。
俺は生まれて初めてそう感じた。
窓に厚いカーテンを引いた俺の部屋。
カーテンの隙間から夏の強い日差しは漏れるが、
それがちょうどいい按配で俺の部屋を適度な暗さに保っている。
その中でずっと横たわっていると、暗く深い谷底のような場所に
自分がどんどん引き込まれていくような気がした。
その暗闇の中で俺は最後に自分が見たモニカの姿を何度も思い出した。
西が丘サッカー場の芝の上を走るモニカの後ろ姿。
日差しを浴び、かろやかに躍動するモニカの体。
どうして俺はあのとき、もう少し待てなかったのだろう。
あのときの俺はモニカがずっといると思ってた。
少なくとも帰ってきたらモニカがいないなんて想像したこともなかった。
緑の芝生の上で俺たちに手を振るモニカの笑顔が、
俺の頭の中で何度もフラッシュバックする。
部屋のベッドの上で俺はモニカの幻影を繰り返し追う。
- 21 :U-名無しさん :2005/07/11(月) 23:17:57 ID:K/s0dWyB0
-
四日目の朝。もう体力は十分回復しているのが感じとれた。
時計を見る。いつもの起床時間だ。
俺は窓のカーテンを三日ぶりに開け放つ。
今日も快晴らしい。7月の強い日差しが俺の部屋の中に差し込む。
この時間なら、空気も朝の軽く湿った
ひんやりとした心地よさを残している。
気分がいい。俺の体がそう感じているのは伝わってきたが、
俺の心はそれに呼応しない。体と心の微妙なギャップ。
いつものようにボールを持って朝の公園へ出かける。
子どもの頃からずっとそうしてきたように、リフティングからはじめていく。
久しぶりのボールの感触。
こんなにボールを触らなかったのは記憶にない。
予定がある日でも、俺の生活では一日の中で
必ずどこかで一度はボールを触っている時間があった。
ボールが足の甲で、膝の上で弾む。俺の肌に適度な反発の感触を残す。
ああ。俺が好きなサッカーだ。
でも。
その日のボールは俺に何も語ってはくれなかった。
- 22 :U-名無しさん :2005/07/11(月) 23:18:24 ID:K/s0dWyB0
- いつもボールを蹴っていれば、俺の心は楽しさで満たされた。
嫌なことがあったときも無心でリフティングしていれば、
いつしか俺の心はほぐれていった。
青空の下、ボールと遊んでいれば、いつも俺の心を解放してくれた。
俺はボールを足下に止めると周囲を見渡す。
朝の、誰もいない公園。
もうモニカはここには来ない。
リフティングしている俺をからかい、むきになってボールを
取り返そうとする俺をいなして、あの笑顔を見せてくれることはもうない。
試合の前に俺を激励し、勇気づけ、一緒にトラップ練習をしてくれることももうない。
この公園に俺は一人。
俺が一人でリフティングしても、誰もボールをとりに来たりはしない。
俺はぽーんとボールを蹴り上げると、
膝で勢いを殺しながら首の後ろでトラップして背中に落とす。
背中を転がり落ちたボールをヒールで蹴り上げる。
ボールが狙ったとおり俺の正面に落ちてくる。
俺は気づく。ボールを蹴っても楽しくない自分に。
- 23 :U-名無しさん :2005/07/11(月) 23:29:17 ID:7gJ1Ushz0
- しかし文章上手いなー。凄い。その場の空気が手に取るように解かる。
サッカーやった事ある奴のつぼを捉えてる。
- 24 :U-名無しさん :2005/07/11(月) 23:45:17 ID:0JUABC0F0
- 作者さんいつも乙です
最近のは見ててつらいなぁ(つД`)
- 25 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 00:21:19 ID:5bslLekz0
- >>23
うむ、同意!
- 26 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 01:00:30 ID:TOkgAVi60
- そりゃ大学行くわ 納得です。
それにしても悲しすぎる(T_T)
俺フィー思い出した。
- 27 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 01:11:59 ID:0LBj8KBZ0
- 俺はドラゴンじゃない方の久保さんを思い出した。
- 28 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 01:29:21 ID:ovvSfMIq0
- >26
確かにこの状況じゃプロに行く気はしないな。
悲しいけどうまい作り方だ。参った。
- 29 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 04:22:24 ID:w7+gslr9O
- 何も死なす事ないだろ…orz
- 30 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 04:25:10 ID:Jw2QuBEY0
- モニワアアアー!
- 31 :茂庭 :2005/07/12(火) 04:43:13 ID:Dc+uZB2DO
- 呼んだ?
- 32 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 07:02:14 ID:DKe+4n8B0
- 昨今の芥川賞作家は反省しる
- 33 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 20:28:07 ID:EaisEEhMO
- ハニワァァァ
- 34 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 22:06:12 ID:y8Fbe1RSO
- なぜ、モニカを殺さねばならなかったのか。
ある意味、皆の期待を裏切ったストーリー展開。新しいヒロインを希望。
- 35 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 22:11:49 ID:O940wMuu0
- せめて、
トラックにひかれそうになった子供を助けて…とかにしてくれよ。
- 36 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 22:13:12 ID:vq2xr5D60 ?
- >35
それじゃ「タッチ」じゃん
- 37 :二ート佐野 :2005/07/12(火) 22:24:05 ID:uqRNP6QtO
- 新しいヒロインは西野つかさたんでよろしいかなヾ(^_^;
- 38 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 23:04:30 ID:ELVIKVvU0
-
その日から学校へは行くようになった。
学校に行った最初の日は、まだ沈鬱な空気が立ちこめていたが、
日が経つに従って、少しずつ会話も明るいものになり、
笑い声も聞こえてくるようになった。
もう一学期も終わる。楽しい夏休みがもう目の前だ。
あの日泣いていたクラスメイトも、
教室で屈託のない笑顔を見せるようになった。
そう、みんな、慣れていく。当たり前であり、自然なことだ。
いつまでも悲しみを胸に下を向いていてはいけない。
悲しみを乗り越え、時間と共にまた前と同じ生活に戻っていく。
正しいことだ。俺もモニカのために、笑って生活できるようにならなければいけない。
頭ではわかっていた。だが、俺の心は、精神は、
どこか配線が一本ぷつりと切れて止まってしまったかのように、
そういう元の生活への復旧作業をなかなかはじめようとはしなかった。
- 39 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 23:04:54 ID:ELVIKVvU0
- 友人に話しかけられれば笑顔で応える。
ギャグを言えば笑う。アホなことをすれば突っ込みを入れる。
表面上は以前と変わりないやりとりをしていても、
その実、俺の心は何の反応もしていなかった。
まるで皮膚の表面だけ、俺のコピーロボットがいるみたいだ。
ロボットは過去の蓄積にしたがって
プログラミングされた俺の動きに従って、会話し、動く。
それだけだ。ロボットに心なんてない。
俺はモニター画面でロボットの挙動を確認する科学者のような存在だ。
俺は話し、動いている。でも、それは俺とつながっていない。
俺と俺自身の間には、いつのまにか気づかぬうちに壁ができていた。
いつか壁も消えるだろう。俺は思う。
壁をなくさなければいけない、とも思う。
でも、その壁はなかなか強固で簡単に崩れる気配はなかった。
- 40 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 23:06:04 ID:ELVIKVvU0
-
久しぶりに顔を出す部活。
みんなからは体調を崩してたんだから、
あせってくる出てくる必要はないと気を遣ってもらっていた。
その言葉に甘えて顔を出すのがついつい遅くなってしまった。
モニカと一番多くの時間を一緒に過ごしたこのグラウンド。
足を踏み入れるのには、俺自身いくばくかの時間が必要だった。
脇から見る練習風景は以前と変わらない。
プレーを指示する大声が飛び、時には笑い声も出る。
誰もがひとつのボールを追って、懸命に走っている。
でも以前からずっと俺たちの練習を見てきた人が注意深く見たならば、
ほんのかすかな違和感に気づいたはずだ。
このグラウンドにいる誰も忘れてはいない。
大事なものがこの場所からなくなってしまった事を。
太陽のように光をそそいでくれた大切な存在が失われたことを。
- 41 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 23:07:11 ID:ELVIKVvU0
- 俺はブランクのあった分慎重にウォーミングアップをこなす。
俺がワールドユースに出ている間にインターハイ予選は終わっていた。
タカシの活躍もあって決勝リーグまで駒を進めたが、
わずかな差で全国への切符をとることができなかった。
次の最大の目標は冬の選手権ということになる。
俺も当然の選択だったとはいえ、ワールドユースに出場したために
チームの大事なときに貢献できなかったことに、
多少の後ろめたさみたいなものはある。
今度は俺の力で、といえばおこがましいが、
ぜひタカシたちチームのみんなと大きな舞台に挑戦したい。
冬の選手権に出られるのは埼玉からは一校。
埼玉から二校出場できるインターハイよりハードルは高い。
もっとレベルアップしなければ選手権出場なんて絵に描いた餅で終わる。
俺はアップを終えると自分自身に気合を入れた。
- 42 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 23:07:55 ID:ELVIKVvU0
- 今日は紅白戦をやることになっている。
ワールドユース仕込みのテクニックを見せてもらおうか、という
さっき聞いた山口の言葉も冗談ばかりではないようだ。
組み合わせはレギュラー組対控え組。
俺はゆっくりとグラウンドに入る。土のグラウンドなんて久しぶりだ。
センターサークルの後ろ、いつものポジション。
俺たちのボールでキックオフだ。前には高田とタカシが構える。
審判役の下級生が笛を吹く。
タカシがすばやくボールを俺に送る。
さあ、頼んだぜ。タカシの笑い顔が見えたような気がした。
俺は視線を左右に散らして、
すかさず走り出した両サイドの動きを確認してパスを送ろうとした。
その瞬間、何とも言いようのない違和感が俺をわしづかみにする。
パスを出そうとした俺の足が止まる。
猛然とチェックに来る下級生が目に入り、
俺は慌ててディフェンスにボールを戻した。
前線でタカシが怪訝そうな表情で俺を見ている。
俺が自分自身に聞きたかった。いまのはいったいなんだ?
いま、どうして俺の体は動かなかった?
夏の日差しが俺の焦燥を笑うかのように照りつける。
- 43 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 23:11:22 ID:TrxUFpRz0
- まとめサイト2の管理人様
お手持ちの掲示板の御確認をよろしくお願いします。
- 44 :U-名無しさん :2005/07/12(火) 23:43:19 ID:2u2RqarR0
- >>34
前スレで終わらせるつもりだったのがレスの伸びが予想以上に速かった。
そんなとこだろう。
- 45 :U-名無しさん :2005/07/13(水) 20:01:27 ID:YCkUICYK0
- サッカーの描写はリアルなんだけど、全体にファンタジーを感じる小説だ。
- 46 :U-名無しさん :2005/07/13(水) 21:54:33 ID:5Rx+EiRi0
- >>45
それはな、書いてる人と登場人物の年齢差からくるもんだと思う。
語り口が設定の年齢とちょっと離れてしまう。こりゃ一人称だと仕方ない。
小刻みな連投だと、どんな比喩が自然かまで考えてられないもの。
- 47 :U-名無しさん :2005/07/13(水) 22:47:48 ID:kpx69Koc0
- >>36
そうかそうだった。
とにかくさ、モニカを轢いた運転手を一概に責められない様な、
そんな状況であってほしかったわけよ。
- 48 :U-名無しさん :2005/07/14(木) 00:19:12 ID:En3lN4iq0
- ネタじゃなかったのかw
- 49 :U-名無しさん :2005/07/14(木) 00:44:39 ID:qb/LvMyU0
-
冬はこの商売にとっては辛い季節だ。
防寒対策は十分にやっているのに、それでもじわじわと寒さが忍び寄ってくる。
元山は埼玉スタジアムの記者席で肩をすくめて震えていた。
大晦日だというのに結構観客席が埋まっているのは、
やはり地元チームの試合があるのが大きいのだろう。
元山のいる記者席からは、アウェーゴール裏の方向に
低い位置で灰色の雲が立ち込めているのが見える。陰鬱な空だ。
明日は天皇杯で国立だ。この商売をやってもう何年もたつ。
すっかり慣れっこになったはずのサイクルだが、
この時期なぜか妙に気分が重くなるのは、
年越し気分に浮かれる世間と隔絶したところで
生活している自分を実感してしまうせいなのか。
ふと手前に視線を戻した元山は、見知った顔を見つけた。
軽く会釈すると向こうも元山に気づいたらしく、こっちに歩いてくる。
近くまで来た彼に元山は声をかけた。
「小熊さん、どうしたんですか?今日は」
「お久しぶり。いきなりだけど、ここいいかな?」
小熊は元山の隣を指差す。
どうぞ、と元山はうなずく。
元U-20日本代表監督の小熊が記者席にいても、
誰も面と向かってとがめだてする人もいないだろう。
- 50 :U-名無しさん :2005/07/14(木) 00:45:56 ID:qb/LvMyU0
- 「監督就任おめでとうございます」
元山の挨拶に小熊が、ありがとう、と礼を返す。
一週間ほど前、小熊のFC東京監督就任が発表されていた。
元々、ワールドユースの監督を務める前は、
FC東京の監督だったから古巣に帰った形になる。
「いろいろ忙しい時期なんじゃないんですか、チームの編成とか」
元山は話を振ってみる。
「意見を言える部分なんて限られてるからね。
大まかな希望ぐらいは言うけれど、あとは編成の仕事だから」
小熊はそういってピッチに目をやった。
「今日はこの試合を見に、わざわざ?」
元山は訊いてみたが、小熊は聞こえていないのか何も言わない。
審判が手をあげ笛が吹かれる。
ピッチで一斉に選手が走り出す。試合開始だ。
第84回全国高校サッカー選手権大会1回戦
埼玉代表・埼玉南高校対鹿児島代表・鹿児島学院高校。
さんざん手垢のついた言葉だが、一回戦屈指の好カードというのが、
専門誌の記者たちの間の評判だった。
- 51 :U-名無しさん :2005/07/14(木) 00:52:25 ID:KLIzykD+0
- あげ
- 52 :U-名無しさん :2005/07/14(木) 01:01:13 ID:En3lN4iq0
- 乙
小熊は北京には行かなかったのね
成績残したのに
- 53 :U-名無しさん :2005/07/14(木) 01:38:42 ID:RogkfORP0
- ということで、FCサポ以外は寄りつかないスレになりそうだ。
- 54 :U-名無しさん :2005/07/14(木) 10:59:58 ID:FuS/Pqf+0 ?
- だから、FCの好き嫌い、たたきとは関係ないだろ。
俺は赤サポだが、単に設定の問題だろ。小説としておもしろければいいじゃないか。
それこそ巣にカエレ!
- 55 :U-名無しさん :2005/07/14(木) 12:56:42 ID:XEu83Jro0
- >>54
いあ、そこまでして読むほど面白い作品じゃないよ、という意見もあっていいはず。
多少の煽りや叩きが来るくらいで過剰反応するから荒れる。
スルーできないなら君も巣に帰れ。
- 56 :U-名無しさん :2005/07/14(木) 13:10:43 ID:FuS/Pqf+0 ?
- >55
すまん、おとなげなくて。
おとなしくしてるよ。
- 57 :U-名無しさん :2005/07/14(木) 16:49:17 ID:Nc1Ouds+0
- 別にどこかのチームの試合みたいに、金取ってるのにこのざまは何だゴルァ!みたいな話じゃないんだしさ。
21さんの書く読み物を読みたいって思う人だけが集まればいいじゃん、ここは。
読みたい派にとっては無意味なカキコによって21さんの創作意欲が萎えることが一番困るよ。
(感想とかアドバイスとか改善点の提案とかはいいと思うよ)
面白くないと思ったら、黙ってここのスレから離れる。それでいいじゃないか。
- 58 :U-名無しさん :2005/07/14(木) 17:52:07 ID:iFAHW7Pb0
- >>57
ネガティブな意見をスルーできない人間を「信者」という。
前スレ最後にあったような過度のマンせー意見は、このスレ荒らす気はなくても、
偶然に通りかかった人間に素直に「つまらん」と言わせる原因にもなるんだぜ。
それとも君は、そのたびに「いやなら読むな!とっとと消えろ!」と叫ぶつもりか?
適度な応援と適切な批評こそが職人にとっては燃料になることを忘れてはいかん。
- 59 :U-名無しさん :2005/07/14(木) 18:19:54 ID:+RkFou8W0
- >適度な応援と適切な批評こそが職人にとっては燃料になることを忘れてはいかん。
うむ、同意。
オレは>>53みたいな無意味なカキコは必要なしと言いたいわけで、ネガティブそうな意見だったらなんでも反発ってわけじゃない。
くだらないレスで荒らしてから去るくらいなら、黙って消えろってことだ。
- 60 :U-名無しさん :2005/07/14(木) 22:07:20 ID:MOu5jVOF0
- Jリーガーを過去に数多く輩出し、昨年の選手権を制した強豪、鹿学。
今年もインターハイでは決勝進出を果たしており、
この大会でも優勝候補の筆頭に挙げられている。
対する埼玉南は初出場。
冬の選手権では長い長い低迷にあえぐ埼玉勢だが、
今年は夏のインターハイでも上位に食い込んでおり、
県全体のレベルは決して低くないという話だ。
地元浦和レッズへの入団が決まっているフォワードの
田村隆の決定力は高校レベルでは群を抜いているという話だ。
チームワークもいい。個々のタレントでは
ライバル校に見劣りするにもかかわらず、
際どいクロスゲームを制して予選を勝ち上がってきたのは、
試合を決してあきらめない粘り強さあってこそといえた。
そして。元山はピッチ上10番の白いユニフォームを探す。
樋口広樹の姿。田村−樋口のホットラインがこのチームの生命線だ。
タレント揃いの鹿学の強力な攻撃を、
抜群のチームワークを誇る埼玉南の守備が抑え込めるか。
その上で樋口、田村の二人が、
鹿学の分厚い守備に穴を開けることができるか。
- 61 :U-名無しさん :2005/07/14(木) 22:08:18 ID:MOu5jVOF0
- 隣の小熊はピッチを険しい顔つきで
睨みつけたまま一言も発しようとしない。
小熊の厳しい表情に、元山は話しかけるのを躊躇する。
そのまま元山も黙って試合を観戦することにした。
結局、前半が終わるまで小熊は一度も口を開かなかった。
試合は、高校生らしい無造作なロングボールを蹴りあう単調な展開となった。
初戦の緊張からかどちらもセーフティの意識が強く出すぎて、
見ている側がはっとするようなチャレンジするプレーが見られない。
スコアは前半20分にセットプレイから、
ヘディングのゴールを決めた鹿学が1点リード。
そのまま、審判が前半終了の笛を吹いた。
観客が一斉に席を立ち、トイレに休憩にと動き出す。
とはいっても所詮は高校サッカーの試合。
代表戦のような混雑にはなりそうもない。
「トイレ行ってきますけど、なにか暖かいもの買ってきましょうか?」
小熊に声をかけてみる。多少陽が出てきたとはいえ、
この気温でじっと座っていると、体の心から冷えてくる。
小熊ははっとしたように振り向くと、
「ああ・・。申し訳ない。コーヒーをお願いしてもいいかな」
ポケットから財布を取り出そうとする小熊を制止して、
「今日は私がごちそうします」
小熊はそれでも財布から小銭を取り出したが、
元山が受け取る気がないのを察したらしく、
「じゃあご馳走になるよ。なんか後が怖いな」といって笑った。
- 62 :U-名無しさん :2005/07/14(木) 22:08:49 ID:MOu5jVOF0
- 元山が二人分のコーヒーを買って戻ると、
小熊は腕を組んだまま、控え選手たちが練習するピッチを、
難しい数学の問題でも出された生徒のような表情で睨みつけている。
「買ってきました」
小熊が礼をいって、コーヒーを受け取るとカップのふたを開ける。
白い湯気が机の上に広がっていく。
小熊はそのまま黙って一口飲む。
元山は砂糖とミルクを入れ、マドラーでかきまぜてから軽くすすった。
苦い。相当煮詰まっている。
「元山さんは・・・樋口の試合見るのは?」
「選手権の予選も含めて何度か・・。」
そうか、と小熊はそっと呟く。
小熊はワールドユースの総括が終わった後協会を離れ、
ドイツへ数ヶ月コーチ留学へ行っていた。
戻ってきたのはつい最近、FC東京監督就任が発表される少し前だ。
おそらく樋口の試合を見る機会はなかっただろう。
「正直、耳には入ってきてたんだがな。まさか、ここまでとは・・」
「どう思いました?」
小熊は苦しそうにぼそりと言葉を押し出す。
「いまの樋口じゃこの先はない。ここまでの選手だ」
- 63 :U-名無しさん :2005/07/14(木) 22:25:07 ID:uAwk8+xz0
- おっ今日の更新は早いね。おかげで早く寝られるよw
自分は樋口がどんな試練を乗り越えてきたのか、そして
さらにW杯で何をしてくれるのか、楽しみにしてますよ。>作者さん
- 64 :U-名無しさん :2005/07/15(金) 06:38:51 ID:HYBPx3UEO
- やべー、樋口ケガじゃなくてスランプかよ!
- 65 :U-名無しさん :2005/07/15(金) 06:59:07 ID:ebhhtn7WO
- そうか、タカシはやっぱり浦和か。
- 66 :U-名無しさん :2005/07/15(金) 08:20:25 ID:J8KDcpLy0
- 樋口→腐頭で若いうちから酷使されて27歳で引退
タカシ→劣頭で飼い殺されて解雇⇒サガントス移籍
- 67 :U-名無しさん :2005/07/15(金) 08:40:41 ID:cmO4M9sGO
- タカシがんがれ!
- 68 :U-名無しさん :2005/07/15(金) 08:46:13 ID:j9o1P4Sg0 ?
- タカシよかったなあ。
ジュニアユースからユースに上がれず高校へ行って、
自分の力で改めてレッズからのオファーを勝取ったのか。
それだけでも一つの話しだな。
- 69 :U-名無しさん :2005/07/15(金) 10:34:37 ID:+i4PBHbC0
- >>64
モニカ・ショックの後遺症でプレーに影響が出てるんだろうな・・・
>>22
>俺は気づく。ボールを蹴っても楽しくない自分に。
>>42
>すかさず走り出した両サイドの動きを確認してパスを送ろうとした。
>その瞬間、何とも言いようのない違和感が俺をわしづかみにする。
>パスを出そうとした俺の足が止まる。
- 70 :ぶ ◆TpifAK1n8E :2005/07/15(金) 11:43:59 ID:paEIdiP90
- 頑張れ樋口〜・゚・(ノД`)・゚・
- 71 :U-名無しさん :2005/07/15(金) 19:51:32 ID:bvdPm0l80
- てかこっから大団円に持っていけるのか・・・。
- 72 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 00:02:07 ID:5u6b0Yh40
- グラウンドではエンドを換えて後半がはじまっている。
「元山さん、いいサッカー選手ってどんな選手だと思う?」
「いいサッカー選手?」
元山は聞きかえす。
「いい、という言葉が適当かどうかわからんが。
サッカー選手としての能力といってもいい。
よく、こいつはいい選手だ、能力のある選手だっていうけど、
それって具体的には何があることを言ってるんだろう」
難しい質問だ。軽率に答えられない。
元山が答えを探していると、小熊が話を続けた。
「技術はサッカー選手としての大事な要素のひとつだ。
だが俺は技術がサッカーに占める割合というのは
実はそんなに高くないと思っている。
もちろんクラスに応じた最低限のラインというのはあるが」
樋口が鹿学の選手に囲まれ、倒されてボールを奪われる。
「文章が上手くてもそれだけでは小説家になれないように、
サッカーが上手いだけではプロのサッカー選手にはなれないんだ。
そこを勘違いしているやつは多い。
ユースの監督やってるときもいろんなところからよく聞かれたよ。
彼はあんなにすごい技術を持っているのに
どうして使わないんですか、とね。
この前、どなたか解説者の人が雑誌で書いてたけどね、
中田英寿よりも中村俊輔よりも上手くて高い技術を持っている選手なんて、
Jに限らず、アマチュアの中にだっているって。
俺もその意見には同感だ」
- 73 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 00:02:31 ID:5u6b0Yh40
- 「そんな」元山は思わず異議を唱える。
小熊は元山の言葉に首を振って、
「たとえばリフティングだけならフリースタイルリフティングの
やつらには代表選手より上手いやつがいる。
ドリブルだってそうだ。
アマチュアだって練習でとんでもなくキレた
フェイント見せられてこっちがびっくりすることがしょっちゅうある。
アマチュアや下位カテゴリでもすごい技術を持ってるやつはいるよ。
でも、それとプロの、トップの世界というのは違うんだよ」
埼玉南の攻撃。左サイドの選手からクロスが上がるが、
中央で待っている田村隆の頭上を遠く越えてゆく。
「技術だけではだめ、ということですか?」
「わかりやすくいえばそうなる」
小熊はコーヒーのカップを口にして飲み干した。
空になったカップが机の上に置かれる。
「たとえば元山さんがドリブルをしている。
相手が一人チェックに来た。
ここで相手を抜いてしまえばビッグチャンスになる。
さて、ここで相手を抜くために一番必要なものはなんだ?」
- 74 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 00:03:02 ID:5u6b0Yh40
- 元山は考える。この話の流れからするとテクニックではないらしい。
「抜こうとする・・気持ちですか?」
「正解。さすがだね、恵理ちゃん」
いつのまにか呼び方が「恵理ちゃん」に変わっている。
「抜けるだけの技術があっても、抜きに行かなきゃ抜けっこない。
すごいシュートを打てる技術があっても、シュートを打たなきゃ決まらない。
いくら優れた技術を持っていても、
それを使おうという意思がなければ何の役にも立ちゃしないんだ。
抜ければ、行けばチャンスという場面で、
勝負しない横パスやバックパス。意図の不明確なプレー。
いくら技術があってもそういう無難な、
責任逃れの選択をしてしまったら、技術は何の意味も持たない。
A代表の攻撃のゴール前を見ればわかるだろ。
ビッグチャンスというところで打たないやつがざらにいるんだ」
不意に元山はワールドユースで
樋口の決めた鮮やかなループシュートを思い出す。
そう、あのとき小熊は元山の質問にこうコメントしていた。
「彼がこの難しい場面で決める力を持っていたということです」
決める力。それは技術だけではない。技術を行使する意思・・
- 75 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 00:06:33 ID:o1Bh5Smf0
- 師匠のことかw
- 76 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 06:38:25 ID:MBy2lLQcO
- だよなw
- 77 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 07:33:16 ID:WrfopyhnO
- いや、ヤナガシャワでしょw
- 78 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 09:50:14 ID:FaaWWY/x0
- どっちもだろw
- 79 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 10:13:56 ID:mvipdPJg0
- タークハルは、打とうという意思は感じられるんだけどな(w
- 80 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 10:25:04 ID:u0PWowo2O
- クラブなんか標準装備だ
♪ゴ〜ルが見えたらシュ〜ト打て♪
リアルに自分達の選手の顔が思い浮かぶよ
頼むよジョー
- 81 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 11:47:49 ID:oNyqGxO+0
- これ書いている方は絶対プロだね ( ̄ー ̄)ニヤリッ
- 82 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 14:28:25 ID:DEsTBm5f0
- 誰もが知ってる現役選手が書いているのだと勝手に想像してる。
遠征中、深夜にPC打ち込んでる姿を想像すると楽しい♪
- 83 :他板に貼った馬鹿がいて、そこで下された冷静な評価 :2005/07/16(土) 14:45:15 ID:Lg9QFRSt0
- 529 名前:名無し物書き@推敲中?[sage] 投稿日:2005/06/30(木) 00:20:25
サッカー好きならマジオススメ。
http://ex12.2ch.net/test/read.cgi/soccer/1105957924/
序盤は文章下手だし、結構書き間違いも多いが、
それでもサッカーの描写はかなりリアル。
途中から絶対に面白くなるので、最初は我慢しても読むべし。
最近は住人のレスがいい感じで入っていて、
作者もそれを計算してるようなところがある。
ある意味、掲示板小説といってもいいかも。
532 名前:名無し物書き@推敲中?[sage] 投稿日:2005/06/30(木) 10:47:13
>>529
作者乙。
俺はサッカーも好きなんでそのスレは知ってるんだけど、
文章は中の下程度(2ちゃんのスレに書いてる点は割り引く必要あるけど)で、
しかも肝心のサッカー描写が代表の二次創作なのがちょっと気になってる。
それでもサッカー板的には良スレで、十分に楽しめる作品だとは思うよ。
でも、もしこの板に貼られてたならば、細部に突っ込みが入りまくると思う。
こういう場所には貼らないで板内だけで楽しんだほうがいいと思うなあ。
(なにより、続きを楽しみにしてる人間ならば終わってから貼るのが吉)
533 名前:名無し物書き@推敲中?[sage] 投稿日:2005/06/30(木) 17:55:04
>>529
サッカー等の小説は結構好みだが……
ここまでアレだとちとむりぽ
だが、ふむ。文章とかの書き方有り方にこだわらない人ならば読めると思う
そんな頃が懐かしい
- 84 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 15:00:34 ID:lxD9Y8jH0
- オタクどもの評価なんてどうでもいいよ
- 85 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 17:10:29 ID:oNyqGxO+0
- >>83 それは冷静な評価というより 貶すことで自らを慰めているあほども評価ね
- 86 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 17:30:30 ID:XmyfqrKq0
- >>83
俺は小説も好きなんでそのスレは知ってるんだけど、
文章は中の下程度(2ちゃんのスレに書いてる点は割り引く必要あるけど)ばっかで、
しかも肝心の話に全く引き込まれないのがちょっと気になってる。
それでも自己満足小説家気取り的には良スレで、十分に楽しめるスレだとは思うよ。
でも、もしこの板に貼られてたならば、誰にも突っ込まれずスルーされまくると思う。
どういう場所にも貼らないで脳内だけで楽しんだほうがいいと思うなあ。
(なにより、続きを楽しみにする人間なんかつくれないのが凶)
- 87 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 17:39:58 ID:zeLFytZk0
- >83
>なにより、続きを楽しみにしてる人間ならば終わってから貼るのが吉
に、禿げしく同意
- 88 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 20:16:57 ID:m5mej1Wt0
- >>83 まあまあ落ち着け。何も他人を貶す人間の仲間入りすることはあるまい。
俺は最近このスレを発見して、もう夢中になって貪るように3時間くらいで全部読んだけど、
でも、話に引き込まれない人が居るってことはなんか分かる気がする。
この小説の魅力って、サッカー描写の素晴らしさと、時折(主に小熊の口から)語られるサッカー観、
それから、主人公自身の魅力だと思う。
主人公の魅力と言っても、人間的魅力というよりは、サッカー選手としての魅力。
「こんな選手がいたら・・・」って言う。
要するに、全部サッカーに関する魅力なんだよ。サッカーが好きじゃない(分からない)人にとっては、
全く引き込まれないのも分からない話では無い。
逆にサッカー好きにとってはたまらない。
プレイ描写なんて、村上龍の小説なんかより全然良い。
だから小説オタクの意見なんか気にせず「極上のサッカー小説」として、
これからも楽しんでいけば良いんじゃないかと思う。 長文スマソ。
- 89 :88 :2005/07/16(土) 20:18:07 ID:m5mej1Wt0
- レスアンカー間違えた。
>>86だった・・・orz
- 90 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 20:33:24 ID:zatRrWtl0
- つーか信者なマンせー意見増えたら当然それに反発するヤツも出てくるわけで。
最近のレスの流れがあまりにキモイのが単なるアンチを増やしてるだけ。
内容にやきもきするレスはいいけど、文章を持ち上げすぎるのはちと不自然。
逆に職人さんに対して失礼なような気がする。
作品としての評価は「佳作」以上の何物でもないわけなんだからさ。
また、>>83のスレで文章が中の下というのは、「内容で評価される水準には達してる」
という意味で、わりとマシな評価だ。
- 91 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 23:02:22 ID:qv00bOiB0
- 「まあちょっとアバウトすぎるたとえだが、こんな言い方もある。
恵理ちゃんが目の前のやつを、
だいたい3回に2回は抜けるとしよう。
チャレンジしてみた。1回目は止められてしまった。
すると抜きに行くのを次からはやめてしまう。
決して抜けない相手じゃないのに、最初の一回を失敗したために
次からトライしなくなってしまう。
結果、抜けるはずの相手が抜けない。持ってる力を発揮できないわけだ。
適度な臆病さと勇気の両方がプレーには必要なんだ。
ここで大事なのは、臆病になるのは誰でもできるが、
勇気は誰もが持っているわけじゃないってことだ」
小熊の言葉が熱くなる。
「それって山川さんの言うような人間力ってことですか?」
元山は訊いてみる。山川はアテネ五輪の代表監督である。
山川の唱えた「人間力の必要性」はサッカー界に様々な反応を巻き起こした。
「考えるスタート地点は同じなんだろうな。
試合において技術だけじゃない、メンタル的な強さが必要だ、と
いうアプローチは、俺が言ってることと同じだと思う。
ただ、人間力って言葉と俺のイメージしてるものは違う。
さっき勇気って言葉を使ったけど、
俺がイメージしてるものはそういうメンタル面も含むけど、
さらにそれ以外のものも含んだ、得体の知れない何かなんだ。
どこの世界でもそうなのかもしれないが、
サッカーで成功した人の中には、破綻してるとまでは言わないが、
お世辞にも人格円満とは呼べない人たちがごろごろしている。
マラドーナなんか見てみろ。人気はすごいがやってることは無茶苦茶だ。
彼らなんかを見てると、俺は人間力という言葉では
俺が言ってる「何か」は説明できないと思っている。
単なる強烈なエゴでもなく、単なる人間的魅力でもなく、
それらを超越した何かなんだよ」
- 92 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 23:03:06 ID:qv00bOiB0
- ライン際を樋口がドリブルで仕掛けたが、
相手の伸ばした足にボールが当たってラインを割る。
「その何かは教えて身につけさせることができるものじゃない。
ある奴は最初から持っているし、ある奴は持っていない。
あるレベルだとそれを持っているように見えるのに、
一定以上の高いレベルの試合やプレッシャーのかかる試合では、
途端にそれがなくなってしまうタイプもいる。
以前持っていた奴が突然それを失ってしまうことも珍しくない」
審判の長い笛。埼玉南の選手がゴール前でうなだれている。
鹿学の選手が右手をつきあげて走っている。
鹿学の追加点。2−0と点差が開く。
樋口が腰に手をあてて空を仰ぐ。何もできずに立ち尽くす姿。
「いまの樋口のようにね」
元山は黙ってピッチを見ている。
そうオランダでもこんな風に記者席からピッチを見ていた。
あの日、ライン際を風のように樋口が駆けていった。
いま、スタジアムの芝の上で、
彼は翼を切られた鳥のように、飛べない自分にもだえ苦しんでいる。
「恵理ちゃんも・・・気づいていたんだろ?」
元山はちらりと小熊の顔を見て、
「ええ・・」
もう攻めるしかなくなった埼玉南が、前線に人数を割く。
開き直りが功を奏したのか、埼玉南がリズムを掴みはじめる。
前線から田村隆が後ろの選手たちに大声で何かを叫んでいる。
- 93 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 23:03:34 ID:qv00bOiB0
- 「ワールドユースのときの樋口なら、
まちがいなくJ1でもレギュラーを張れたし、
A代表にだって呼んでみる価値はあった。
恵理ちゃんがよく知ってるとおり、
あのときの樋口のプレーにはどんな奴もひきつける魅力があった。
ドイツに行ってからも正直樋口のことは気になっていた。
どこのクラブに行くんだろう。ジーコは代表には呼ばないのか。
樋口がどんなプレイヤーになるのか、
俺も一人のサッカーファンとして楽しみにしていた。
でも日本にいる奴にたまに聞いてみると、どうも話がはかばかしくない。
聞けばすっかりただの人になっちまってるって話じゃないか。
俺は自分の耳を疑ったよ。
小中高あたりまで年代別代表の常連だった選手が、
ある時からふっと選ばれなくなる。ぱたりと顔も名前も見なくなる。
俺自身そういう若い選手たちをセレクトする側でやってきた。
そんなのがあちこちに転がっているありふれた話だってのは承知している。
それでも、樋口だけは例外だとどこかで思っていたんだ」
試合前に撮影される集合写真。
元山もライターとして報道する仕事に携わっている故、
年代別の代表だけでも数え切れない枚数を見ている。
時折昔の写真を見返すと、
いまでもA代表で活躍する面々に交じって、記憶にない顔がある。
あれ、これ誰だっけ?
集合写真はサッカー選手の生存競争の記録でもある。
いつのまにか欠けて消えていく顔がある。
- 94 : :2005/07/16(土) 23:04:39 ID:vZukH+5O0
- 人間力wwwwwwワラタ
- 95 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 23:07:14 ID:zeLFytZk0
- 財前(ホロリ)
いまじゃチームでも干されちゃって‥‥
- 96 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 23:13:35 ID:v6sEfJuu0
- 人間力と聞くとめ組のダイゴを思い出す
- 97 :U-名無しさん :2005/07/16(土) 23:55:57 ID:pGN91ELl0
- >一定以上の高いレベルの試合やプレッシャーのかかる試合では、
>途端にそれがなくなってしまうタイプもいる。
これ、まさに俺だぁ。もちろん、そんな高いレベルの話じゃないけど。
こうゆうリアルな部分がでてくるところが好きだなあ。
- 98 :U-名無しさん :2005/07/17(日) 23:05:22 ID:Lfzcdxqs0
- 保守
- 99 :U-名無しさん :2005/07/17(日) 23:26:40 ID:bHDDad8r0
- 今日はオヤスミかな
- 100 :U-名無しさん :2005/07/17(日) 23:28:12 ID:Pzp6fiEV0
- 確か休日は作者タンお休みでしょ
明日に期待
- 101 :U-名無しさん :2005/07/18(月) 10:50:32 ID:h+x/UfreO
- しょぼーん(´ω`)
- 102 :U-名無しさん :2005/07/18(月) 21:39:56 ID:4B+mp0N80
- 保守
- 103 :U-名無しさん :2005/07/18(月) 23:42:16 ID:KPhbDDS80
- 「やっぱりモニカちゃんのことが原因なのか?」
小熊が元山のほうを向いて尋ねた。
元山は少し迷ったが、正直に答える。
「そうだと思います」
埼玉南の攻勢が続いているが、鹿学の守りは堅い。田村にいい形でパスが入らない。
埼玉南は田村にロングボールをほうりこんでいるが、
鹿学のディフェンダーも上背があり、きっちり跳ね返す。
「でも、それにしても・・それだけであれほどまでに
変わってしまうものなんでしょうか」
元山はずっと抱いていた素朴な疑問を口にする。
「プロとしてサッカーを見てる恵理ちゃんが
そんな質問するとはちょっと意外だが・・。
選手にとってメンタルがプレーのデキに占める割合は相当高いんだよ。
監督やチームメイトとの確執、移籍絡みのごたごた、女性関係のトラブル。
怪我よりもメンタル面のトラブルで
プレーがおかしくなるやつの方が実は多いんだ。
日本の10番を背負うといわれていた磯崎や、
去年引退を発表した前野だってそうだ。
樋口の中でモニカちゃんの死をきっかけに、
何かが消えてしまったんだろう」
「彼は一所懸命やってます。必死でもがいてます」
元山は反論する。
「誰も樋口が一所懸命じゃないなんていってない」
小熊が悲しそうな顔をした。
「あいつ自身にもどうしようもないどこかで、
なにかがなくなっちまったんだ」
- 104 :U-名無しさん :2005/07/18(月) 23:45:31 ID:KPhbDDS80
- 樋口がボールを持つ。パスの出し先を探して、
迷路にいるようにせわしなく左右を見渡すが、出し所が見つからない。
その間もじりじりと時間が過ぎていく。
「なんといってもテクニックの蓄積があるから、
県予選ならなんとかごまかしきれたかもしれん。
同じチームにいいフォワードもいるしな。
高校選手権のレベルならピッチに立つ資格は十分にあるし、
それなりに通用もするだろう。
だが、この先の世界ではもう通用しない」
スタジアムの時計の針は残り時間が少ないことを告げている。
「やつにとっては相手が鹿学でよかったかもしれんな。
今日来てる全国紙の記者はほとんど地区予選なんて見てない。
テレビ中継を見てる一般のお客さんもそうだろう。
ここで負ければ、たまたまこの試合だけ樋口の調子が悪かったで済む。
しかも相手は優勝候補の強豪鹿学だ。負けても不思議はない。
だがもし勝ち進めば勝ち進むほど、
もうかつての樋口はどこにもいないことを世間に知らしめることになる。
それは樋口本人にとって、ひどく酷なことだろう」
そんな・・・・。元山は言葉をそっと呑みこむ。
認めたくはなかった。
けれど、小熊の言葉は元山が感じていたこととまったく同じだった。
- 105 :U-名無しさん :2005/07/18(月) 23:47:49 ID:KPhbDDS80
- 樋口を見に出かけた県予選。試合を見た元山は首をかしげた。
これがあのオランダの彼と同一人物なの?
テクニック、ボール捌きには面影を残しているものの、
見ている元山に伝わってくるものがなにもない。
元山を思わず記者席から立ち上がらせた、
あのほとばしるような情熱のかけらも見あたらない。
元山のような素人にも読めるパス。確実だが創造性のないプレー。
困惑する元山の耳に、近くにいたJクラブのスカウトの会話が耳に入る。
「あれが樋口か。実際に見てみると・・随分印象が違うもんだなあ・・」
「よくまとまってるけど、レベルの高いチームじゃないからなあ。
練習してるうちに低いレベルに合わせるようになっちまったのかな」
「ワールドユース見たときは化け物かと思ったのに・・
たまたまあの時だけ確変入ってたってことか」
自分の世界に入り込んでしまった元山を置いて、
そっと小熊が静かに立ち上がった。
「小熊さん?」
「もう失礼するよ。試合もほぼ決まったようだし、それに」
そういうとコートの襟を立ててぎゅっと首にかぶる。
「俺はあんな樋口を見たいんじゃない」
そういうと小熊は振り返りもせずにすたすたと
スタンドの出口に歩いていってしまった。すぐに姿が見えなくなる。
ひとり取り残された元山はゆっくりとピッチに視線を落とす。
ロスタイムを示す表示が出ている。スコアは2−0のままだ。
- 106 :U-名無しさん :2005/07/18(月) 23:49:13 ID:KPhbDDS80
- もう鹿学は敵陣内に入ったボールは追わない。全員が自陣に引いている。
埼玉南のディフェンダーは、悠々と
ボールを持たせてもらえるがもう時間がない。
早く攻めたい埼玉南。長いパスが中盤に送られる。
パスを受けたのは樋口だ。
埼玉南のイレブンは最後まで樋口を信頼してパスを出している。
あっというまに鹿学のユニフォームに取り囲まれる樋口。
後ろへターンしてキープしようとするが、そこにも相手がいる。
後ろがだめなら、と今度は強引に前を向く。
接触ではじかれた鹿学の選手がよろめき、ぽっかりと樋口の前が開いた。
すかさず樋口が小さな足の振りでパスを出す。
だが、そのボールは鹿学の選手が伸ばした足にあたり、
方向を変えて前に飛んでいく。
それが運よくゴール前で待っていた田村の足元に転がった。
虚をつかれ一瞬ボールウォッチャーになってしまった鹿学のディフェンス。
田村の前にはぽっかりと幅広いシュートコースが空いている。
田村はまだゴールに対して半身だ。ワンタッチ入れてボールを置きなおすか。
元山がそう思った瞬間、田村は強引に体を捻り、
腰をぐるりと回転させるとダイレクトでシュートを打った。
- 107 :U-名無しさん :2005/07/18(月) 23:49:47 ID:KPhbDDS80
- 人に当たって予想外の動きで後ろからきた難しいパス。
無理に打った分シュートのスピードはなかったが、飛んだコースは完璧だった。
ゴール枠左下すれすれ。ぼてぼてのボールがゴールの中へ転がっていった。
地元チームの得点にスタンドからこの日一番の歓声が沸き起こる。
けれども田村にも、樋口にも笑顔はない。
そして続いて長い笛。埼玉南の選手がばたばたと芝に膝をつく。
あちこちで抱き合って喜ぶ鹿学の選手たち。
そんな中、田村隆は悔しさを顔に浮かべながら、
それでも毅然と前を見てセンターサークルに戻ろうと歩いている。
樋口の表情からはなにも読み取れない。
目線を落とし、ただ疲れ果てたように、重そうに足を進めている。
たぶんダイレクトで打ったのは田村君のメッセージね。
元山にはそんな気がしてならなかった。
あの状況なら一回ボールを足下で置きなおすだけの時間はあったし、
そのほうが確実にゴールできた。
彼はそれがわからない選手ではないし、シュートを打つときも落ち着いていた。
でも、田村君はあえてリスクの高いダイレクトで打つことにこだわった。
樋口君、あなたはなぜ田村君がこだわったかわかるかしら?
元山は問いかける。届くはずのない問いをピッチを力なく歩く樋口に投げかける。
- 108 :U-名無しさん :2005/07/19(火) 00:09:38 ID:Cife8tuZ0
- >>103
去年引退を発表した前野。。。 (つД`)・゜
- 109 :U-名無しさん :2005/07/19(火) 01:15:15 ID:wh1oh8sA0
- ここからどう樋口が復活するのか…ワクワク
- 110 :U-名無しさん :2005/07/19(火) 08:06:12 ID:07i3K+qD0 ?
- >日本の10番を背負うといわれていた磯崎や、
今はゴルファー(未満)の磯○、、、、、、
- 111 :U-名無しさん :2005/07/19(火) 08:52:36 ID:5He9TlUcO
- まだちょっとワクワクにはなれないな
強烈な光を放った後、一瞬にして輝きを失った選手
ただ上手さだけは持ち合わせていて、逆にそれが悲しい
そんな奴らの顔を思い出したよ、マジコ
- 112 :U-名無しさん :2005/07/19(火) 14:52:07 ID:caMbgpVP0
- 捏造記事やら日の丸問題やらいろんなメディアとのトラブルに見舞われても、
今だ一線にいる中田英寿の精神はやはり並じゃないという事か。
- 113 :U-名無しさん :2005/07/19(火) 23:22:11 ID:Hjuw8Kmt0
-
がたがたと椅子を引く音がひとしきり鳴ると、
あっという間に教室からは人がいなくなっていた。
以前は、授業が終わっても居残って、
際限ないおしゃべりを延々としていた女子たちも、
いまはさっさと挨拶を交わして、学校を出て行く。
これが受験シーズン本番ってことか。俺は妙に納得する。
三学期になってから、俺たち3年生はずっと半日授業だ。
私大やら専門学校やらの試験がはじまりだしたため、
今日も教室は空席が目立っていた。
形ばかりの授業を受けても意味がないと、
学校に来ないで家で受験勉強に励んでるやつも少なくない。
一方、推薦とかで自分の行き先をもう決めているやつは、
バイトか教習所にでも通うのだろうか、
残り少ない自由時間を無駄にできないと、
学校にもう忘れ物はないような顔をして、さっさと校門を出て行く。
ああ、別れの季節なんだなあ。
俺は実感する。そんな俺もカバンの中には受験参考書が詰まっている。
今日も帰り道に図書館によるつもりだ。
親は進路についてなにも言わないが、浪人してあまり家計に負担はかけたくない。
いままで好き放題やらせてもらった以上、
俺自身少しは勉強を頑張らないといけない。
- 114 :U-名無しさん :2005/07/19(火) 23:23:39 ID:Hjuw8Kmt0
- ふと窓の外から校庭を見る。2年の男子が体育の授業をやっている。
サッカーだ。岩崎が脇に立って暇そうにゲームの様子を見ている。
俺たちの高校サッカーは、大晦日で終わった。
優勝候補の鹿学に1回戦負け。
鹿学はその後も順調に勝ち進み、準優勝という成績だった。
最初から鹿学なんて運が悪かったよなあ。そういってくる友人もいた。
他のとこだったらいいとこまで進めたかもしれないのに。
だって、鹿学とも一点差だったもんなあ。
俺たちサッカー部員はそんな言葉を笑ってやり過ごした。
鹿学と俺たちの間にどれほど大きい差があったか、
それは同じフィールドで戦った俺たちが一番よくわかっている。
鹿学と俺たちの間にははっきりとしたレベルの差があった。
プレイスピード、判断力、ゲームを読む力。大人と子どもほどの違い。
試合結果は妥当なものだし、よほどの幸運がなければ変わらないだろう。
でも、もし俺がワールドユースのときの俺だったら。
あのときのプレイができる俺だったら、どんな試合になっていただろう。
俺ははっとする。くだらないことを考えてしまった。
俺は首を振って頭の中から余計な考えを追い払う。
しょうがないじゃないか。もうお前は以前のお前とは違うのだから。
- 115 :U-名無しさん :2005/07/19(火) 23:24:55 ID:Hjuw8Kmt0
- サッカーをやっていると、いろんな感覚がある。
たとえば「スペースが見える」感覚。
木の生い茂った森の中に、なぜかぽっかりと広場ができることがあるように、
フィールドにも無数のスペースが泡のようにできては消える。
誰かが、もしくは自分が動くことで、スペースは生まれ、また消える。
そのスペースを見つける楽しみ。
今あるスペース。何秒後かにできるであろうスペース。
そこにイメージどおりのパスを出して通ったときの喜び。
ワールドユースのときは、人がやっと立てる程度の
小さな円のスペースまで俺には見えるような気がしていた。
だけど日本に帰ってきた俺には、そういうスペースが見えなくなっていた。
ドリブルしているときの相手の気配もそうだ。
オランダでは、言葉も通じない相手選手が俺のドリブルに対峙したとき、
何を考えているかある程度イメージすることができた。
攻撃を遅らせたがっている、すぐさま喰いついていくることはない。
狙ってるな、足を伸ばしてくる。あ、いま俺のフェイクに吊られた。
だが俺は相手が何を考えているか読めなくなっていた。
見えていたものが見えない。感じていたことが感じられない。
プレー中に感じ続ける違和感が、
俺の視界を眼帯でもはめたようにどんどん狭くしていく。
以前なら見えていたサイドのオーバーラップが見えない。
勝負どころでだすスルーパスの走る道が見えない。
自分のプレーがどんどん悪くなっていくのがはっきりとわかった。
- 116 :U-名無しさん :2005/07/19(火) 23:25:34 ID:Hjuw8Kmt0
- その頃、練習試合や大会でライン際に見知らぬ大人の姿を見ることも増えた。
プレーの切れ目にふと彼らのほうを見ると目が合うこともあった。
俺を見ている。何者だろう。
すぐにその答えはわかった。Jクラブのスカウトだ。
時折声をかけられ、試合後に話をすることもあった。
ほとんどがプレーについての他愛無い世間話だ。
表面上は普通に会話を交わしていたが、
俺には彼らの心の声が聞こえてくるような気がしていた。
「樋口はどうしちゃったんだ?全然プレーにキレがないじゃないか」
そんな俺の心にささやく声を裏付けるように、
一、二度練習参加の打診はあったものの、
やがてスカウトたちはひとり、またひとりと顔を見せなくなった。
たまに来るスカウトたちの視線も、俺ではなくタカシに向くようになった。
当然だと思った。タカシはめきめき成長していた。
チームメイトとしても頼りがいのあるフォワードになっていた。
やがてタカシにはいくつかのオファーが届き、
タカシはその中から古巣ともいえるレッズを選んだ。
タカシのサッカーにかける思い、三年間の頑張りを知っているだけに、
俺にとっても嬉しいニュースだった。
そして俺はいつしか思うようになった。
俺が一瞬でも、違うサッカーの世界を見ることができたのはモニカの力だったんだと。
モニカが持っていたサッカーの特別な力を
俺に与えてくれたから、俺は本来持っている能力以上のプレーができた。
だからモニカがいなくなり、モニカの助けがなくなったいま、
俺が平凡なプレーしかできないのも当然のことだ。
俺はそんな風に自分自身に言い聞かせた。
- 117 :U-名無しさん :2005/07/19(火) 23:54:19 ID:xPR9dOgh0
- いくじなし!
- 118 :U-名無しさん :2005/07/20(水) 00:09:19 ID:H3lKX/AI0
- 切ないなあ・・(;´Д⊂)
宗方コーチを失ったひろみや佐為が消えて途方にくれるヒカルを
思い出させる。例えが気に障ったらゴメン
- 119 :U-名無しさん :2005/07/20(水) 09:53:25 ID:o+ro7uku0
- タカシのメッセージは、樋口を再生させるには至らなかったのか orz
- 120 :U-名無しさん :2005/07/20(水) 20:32:27 ID:SdHsiiLdO
- (´・ω・`)タカシカワイソス
- 121 :U-名無しさん :2005/07/20(水) 22:52:47 ID:fnQM6QBG0
- 代わりにタカシが事故にあえばよかったのに。
- 122 :U-名無しさん :2005/07/20(水) 23:05:23 ID:HPDsJPpVO
- 121タンの鬼ィ
- 123 :U-名無しさん :2005/07/20(水) 23:11:06 ID:tx0XT/Fv0
- それで俺自身のことは納得させることもできた。
だがチームメイトにはとてもそんなことはいえなかった。
タカシはもちろん、山口も内藤も、レギュラーも控えのやつも、
みんな懸命に練習に打ち込んでいた。
口にはしなかったが、モニカのことをみんな忘れていない。
選手権に出ることで、モニカにせめてものお礼をしたい。
誰も口にはしなかったが、一人一人が心の中に熱い思いを
隠し持っているのを、練習中に何度も感じることができた。
俺も何かしたい。チームに貢献したい。
俺の中でもチームのために、という思いが大きくなっていく。
みんなの俺への期待もひしひしと感じていた。
モニカと一番コンビを組んでいた俺を軸にしたい、というみんなの心。
けれどもいくら練習しても失ったものは戻ってこなかった。
県予選では厳しいマークを受けることが多かった。
俺はその裏をかくように、どんどん周囲にパスを回していった。
自分では何もできなくなった俺が考え付いた苦肉の策だった。
時には不必要なフェイントを連発したりして、相手にはったりをかましてもみた。
すべてはごまかしだった。ギミックだ。
目の肥えた人が試合をよく見れば、俺を中心にボールが回っているようで、
その実ほとんど俺が仕事をしていないことがわかっただろう。
そんな風に敵チームの目をごまかしながら、
タカシの神がかり的な決定力のおかげで、
紙一重の差で予選を突破したときは心底ほっとした。
そして高校選手権。一回戦で負けたとき、悔しくなかったわけじゃない。
でも笛が鳴ったときに俺の心に広がったのは安堵感だった。
もうこれで楽になれる。不釣合いな期待をかけられずに済む。
もういいんだ・・。
- 124 :U-名無しさん :2005/07/20(水) 23:11:30 ID:tx0XT/Fv0
- 俺は窓の外を見るのをやめて教室を出た。
三年生はもう誰もいないし、他の学年は授業中だから廊下には人がいない。
俺は廊下を歩く。ぺたぺたという上履きの足音が妙に響く。
サッカーができなくなった以上、他の進路を考えなくてはいけなかった。
まだ将来具体的に何になるかなんてわからないが、
ずっとサッカー中心の生活だったから、もっといろんなことを知りたい。
そんな考えで俺は大学を受験することにした。
時間がたって、いつか気が向けば、大学の同好会とか地域のクラブで
趣味として、サッカーは続けるのも悪くない。
下駄箱から靴を出したとき、校庭のほうから笛が鳴るのがかすかに聞こえた。
点が入ったのか、試合が終わったのか。どっちだろう。
まあいい。もう俺にサッカーは関係ない。
埼スタで試合終了の笛が鳴ったときに、俺のサッカーは終わったんだ。
上履きを靴箱にしまおうとしてふと人の気配を感じる。
「タカシ・・」
タカシの一見なにも考えてそうな笑顔。
扉の付近に置かれた傘立てにタカシが腰かけている。
「随分帰りが遅いじゃねえか。
こんな遅いと思わなかったから待ちくたびれたよ。
まあ、授業のサッカー見てたから暇は潰せたけど」
俺はなぜタカシが俺を待っていたのかがわからず、困惑する。
「ところで今日、時間あるか?」
- 125 :U-名無しさん :2005/07/20(水) 23:14:12 ID:mZjjpASo0
- ウホッ!
- 126 :U-名無しさん :2005/07/21(木) 00:02:58 ID:crZfYlQz0
- あげ
- 127 :U-名無しさん :2005/07/21(木) 06:55:23 ID:6DwUjcSA0
- いやー
- 128 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 00:14:29 ID:EcA30EAR0
- 待ちage
- 129 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 00:42:47 ID:eFE8cPcN0
-
俺たちは自転車を並べてこぎながら校門を出た。
タカシは俺を先導するように、少し斜め前を走っている。
俺は黙ってタカシの後についていく。
タカシはうちのグラウンドをぐるっと回り込むように自転車を走らせる。
学校の裏手にある埼玉スタジアムの白い屋根が近づいてくる。
タカシはそのままスタジアムの周囲に作られた公園へ自転車を乗り入れる。
今日みたいな平日の昼間では客がいるわけもなく、
スタジアムは古代の遺跡のように物言わず、静かにたたずんでいる。
スタジアムの駐輪場にタカシが自転車を止める。俺も倣う。
タカシはそのままスタジアムに向かって歩き出す。
もちろんスタンドに通じる扉は閉められているが、
タカシはその扉に連なる鉄柵に沿って歩きはじめた。俺も横に並んで歩く。
「レッズのジュニアユースにいた頃さ」
タカシがしゃべりはじめた。
「俺、出た大会のほとんどの試合で先発してた。
点だって他の誰よりもとってた。
だから、自分がユースにあがれることをこれっぽっちも疑ってなかった。
でも、秋になってクラブから言われたんだ。
俺のこと、ユースにあげる予定はないって。
進路については相談に乗るけどどうするって」
タカシが自分からレッズ時代のことを話すのははじめてだ。
俺は黙って聞いている。
- 130 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 00:44:44 ID:eFE8cPcN0
- 「俺は全然納得しなかった。
俺より下手なやつがユースに上がっているのに、
なんで俺がだめなんだ?って思った。
なんてこいつら見る目がないんだって思った。
子どもの頃からプロになるつもりでやってきた。
俺自身は十分プロでやれる手応えを感じていた。
傲慢なんじゃないぜ。ジュニアで練習してても、試合に出ても、
こいつには負けるって思うようなやつはいなかったんだ。
だから俺はきっとプロまでいける。そう信じてた。
だけどクラブは俺のことをプロにはなれない、と判断したんだ。
ふざけんじゃねえよって思った。俺の夢を勝手に潰すなよって思った。
でも、クラブの決定だ。どうしようもない。
クラブに頼めば私立とか、多少は口をきいてくれるらしいけど、
捨てられる立場でクラブに頼るのなんて勘弁だって思った。
だから、公立の南に入ることにした。
俺の馬鹿な頭じゃちょっときつかったけど、
ここならそこそこサッカー強いし、監督は岩崎だし、
入って損はないだろうって思った」
それに、とタカシは言葉を切ってスタジアムを見上げる。
「南なら埼スタが近いからな。
授業を受けてても、グラウンドで練習してても埼スタが見える。
俺は南で伸びて、絶対に俺を落とした奴を見返してやる。
いつかプロとしてあそこに立ってやるって。
埼スタを見るたびに、落とされた悔しさを
思い出せるんじゃないかって思った」
- 131 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 00:45:34 ID:eFE8cPcN0
- 冬の弱々しい日差しがスタジアムの屋根を照らしている。
屋根の切れ目からは、屋根の影になって日のあたらない、暗い観客席が見える。
スタジアム全体がいまは静かにたたずみ、
やがて訪れる熱狂の時をじっと待っている。そんな感じだ。
「だから正直言うと、チームにはさほど期待してなかった。
武東みたいな私立には選手集めの段階で分が悪いのは承知してたし。
あくまでも自分がどれだけ成長できるかにしか、俺は興味なかった。
チームがダメでも、俺にいい評価がつけばそれでよかった」
浦和美園駅に伸びる遊歩道が右手に見えてくる。
「最初に練習に参加したとき、ぱっと全体見てみたら、
だいたい予想していたとおりのレベルだった。
これならすぐにレギュラーになれる。問題ねえってまず思った。
だがよく見てたら、次に焦ったよ。
いたんだよ、ひとり。げ、こんな上手い奴がいるのかって。
はじめてだった、そんなこと思ったの。
もちろん常に俺がナンバーワンって思ってる訳じゃないぜ、俺だって。
他の奴見てて、ある部分なら俺より上手いなって感じたことは何度でもある。
でも、トータルで・・全体で負けてるかもしれんって
感じたのはあの時が初めてだった。
ジュニアユースでやってても、いろんなやつと試合で対戦しても、
そんな気分になったのは、あの時が初めてだった」
俺はタカシの話を聞きながら、考える。
入学した頃、上級生にそんな上手い人いたっけ?
少なくともタカシにそこまで感じさせるような先輩がいた記憶はない。
「お前だよ、お前。なに、とぼけてるんだ」
タカシが俺の方を見て楽しそうに笑った。
- 132 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 00:46:43 ID:eFE8cPcN0
- 俺?思わず自分の顔を指さして問い返してしまう。
「嘘だろ?入学してすぐの頃っていったら・・」
中学時代も部活でやってたとはいえ、全くの無名だった俺。
当然あの頃はたいしたテクニックもなく、プレーだって見栄えしなかったはずだ。
「俺は冷静に考えてみた。俺は何でそう感じたのかってね。
正直、どれをとっても俺の方が上手かった。
ドリブル・パス・シュートは言うまでもなく、
フィジカルだって、経験の蓄積だって、精神面だって、
誰がどう見ても俺の方が勝ってる。
でも、俺の勘みたいなものが言うんだ。こいつはうまくなるって。
自慢じゃないが、俺の勘は絶対に嘘をつかないんだ。
だからそのとき俺は心に決めた。
いまは俺がリードしてるが絶対にこいつは追いついてくる。
卒業までの間が勝負だって。
卒業したときどっちがいい選手になってるかの勝負だって。
こいつに負けないようなら俺はきっとプロになれるって。」
いつのまにか俺たちはスタジアムを半周している。
右手には大きな池がある。
タカシが近くの芝を指さして座ろうぜ、と言う。
俺とタカシは池の周囲の芝生の上に並んで腰を下ろした。
- 133 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 00:47:37 ID:eFE8cPcN0
- 「やっぱり俺の勘はあっていたんだな、お前はどんどん上手くなった。
ああ見えて、やっぱり岩崎もいいコーチなんだよ。
俺も成長したけど、お前はもっと伸びた。
最初はチームに何の期待もしてなかった俺だけど、
お前の成長を見ているうちに正直色気が出てきた。
これならこのチームででかいとこ狙えるかもしれないなって。
そしてモニカちゃんが入ってきた。
いま思うとモニカちゃんは選手としてはもちろんだけど、
コーチとしても一流だったんじゃないかな。
一気にお前の素質が全部開花した、という感じだった。
だから俺はワールドユースでお前が大活躍しても、全然驚かなかった。
俺が最初に見たときに感じたものはまちがってなかったんだ。
やっぱりこれだけのことができる力を持ったやつだったんだってな」
座った俺の目の前で、池の水面が震えるかのように小刻みに揺れている。
「サッカー、続けろよ」
横を見るとタカシの優しい目。俺は思わずはっとする。
こいつ、こんな顔ができるくらい、大人だったんだ。
俺は、いつのまにかタカシと自分の間に
埋めようのない大きな差がついてしまったような気がする。
「タカシ、すまん。もう俺は前の・・・」
もう俺は以前のようなプレーができないんだ。
ワールドユースの時のような俺じゃないんだ。
あれはモニカが一時見せてくれた奇跡だったんだ。
その先は言わなくてもわかってるというように、
タカシがすっと俺の言葉を引き取る。
- 134 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 00:48:26 ID:eFE8cPcN0
- 「わかってるよ。お前がずっとスランプに陥ってるのは。
チームのみんなだって気づいてた。
でも、結局みんなお前から実力でレギュラーを奪えなかった。
だから俺たちのチームは最後までお前を使って、お前に頼るしかなかった。
あいつらもわかってるよ。
内藤も山口も高田も、みんなお前のいないところで自分を責めてた。
自分たちの力が足りなかったがために、樋口に負担をかけちまったってね。
もっと俺たちが頼りになる存在で、樋口の気分を楽にしてやれたら、
お前のスランプだってもっと軽くなったのかもしれないって」
みんなの顔が思い浮かぶ。馬鹿なことばかりいってた仲間。
みんなそこまで・・俺のことを考えててくれたのか。
ふがいない、だらしない俺のことを。
「お前が自分のことを、モニカちゃんの助けがあったから、いいプレーができた。
モニカちゃんがいなくなったから、もうたいしたプレーはできない。
そんな風に考えてるのは見ててわかったよ。
でも、それって違うだろ。
モニカちゃんは確かに死んじまったけど、
モニカちゃんがこの世に生きてたという事実がなくなるわけじゃない。
プロになることしか考えてなかった俺に、
モニカちゃんはサッカーの楽しさってのを改めて教えてくれた。
モニカちゃんは確かに俺たちと一緒にいたし、
俺たちはいつでもモニカちゃんのことを思い出せる。
死んでしまったからすべてがきれいさっぱりなくなっちまうわけじゃない。
だから、お前自身の力、モニカちゃんが伸ばしてくれたお前の力。
それは決してなくなったりはしない。いまでもお前の中に脈々と息づいてる。
だからサッカーを続けろよ。
俺の勘が正しければお前は相当なところまでいけるはずなんだ。
俺はレッズに行く。レッズでレギュラーをとって、
代表になって、俺は絶対に一流のプロサッカー選手になる。
だが、お前はそれよりももう少し上を見られるはずなんだ。
だから・・サッカーを続けろよ」
- 135 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 00:49:00 ID:eFE8cPcN0
- この前まで一緒に馬鹿な、くだらないことを言い合っていたはずなのに。
なんかタカシだけ、大人になって。
「タカシ。お前、俺に腹は立たないのか」
俺の問いにタカシはにやりと笑って、
「青春ドラマみたいにパンチしちゃうのか。それもいいかもな。
もちろん、お前のだらしなさにまったく腹が立たないって言ったら嘘になる。
でもな。俺なりにわかってるつもりなんだ。
お前がどれほど悲しくて辛かったかは。俺なりに、だけどな」
タカシのはにかむ横顔。俺はすべてを悟る。
いや、いま悟ったんじゃない。ずっと前から気づいていたのに。
俺は無理矢理気づかないふりをしていた。
そう、タカシだってきっとモニカのことが好きだった・・・。
俺と同じくらい、モニカのことが。
タカシだって、悲しくて辛くてどうしようもなくて。
きっと俺と同じくらいのやりきれなさを抱えて。
それでも、タカシは歯を食いしばってその悲しみを乗り越えた。
俺は、俺は・・。タカシの気持ちがわかっていたか?
俺だけが何もわかっていない、辛いことに背中を向けて
膝を抱えて泣きじゃくる子どもだったんじゃないか?
「まあ本音言うとそんなに心配してる訳じゃないんだけどな、
お前は絶対サッカーから離れられないよ。
一応、今日の話は念のためにってとこだな。
しばらく離ればなれになるけど、そのうちそこで会おうぜ」
タカシは楽しそうに笑って後ろを指差す。
振り返ればスタジアムの巨大なスタンドが、
そっと俺たちを包み込むように見守っていた。
- 136 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 01:16:28 ID:X8FPCjh50
- ・゚・(ノД`)・゚・
- 137 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 01:33:53 ID:CYzolSEZ0
- タカシを友人にもった樋口は幸せモンだ・・・。゜(゚´Д`゚)゜。
- 138 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 02:25:40 ID:Uid8LP5I0
- くそ、泣きそうになってしまう自分が悔しいw いつもありがとう作者タン。
- 139 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 02:29:01 ID:1k4Q5n1y0
- 保守
- 140 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 03:07:44 ID:jmRt7P4GO
- いい話や…しかしなんで大学に進学してもスランプ続いてんだ?
- 141 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 06:43:55 ID:dx6NIAA/O
- いや、これから徐々に復活だろ。
てゆーか、たかしが死ねば良かったのにって言ってた奴、出てこいゴルァ!!
- 142 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 11:20:52 ID:RNIdWt8e0
- (;´Д⊂)号泣。。。
- 143 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 18:24:27 ID:7x/fm3+c0
- ああああああ泣けるじゃねーかこんちくしょう!!!
今読むんじゃなかった。。。
これから出かけなきゃならんのに、目あかいしヤバすぎす。・゚・(ノД`)・゚・
- 144 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 19:15:17 ID:742k10hI0
- タカシ素敵すぎ。・゚・(ノД`)・゚・。
- 145 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 20:49:31 ID:KRDmDMft0
- 職場でもこの物語の事ばかり考えてる。
暑い中外に出るとモニカの事を想う・・。
モニカは夏がよく似合う太陽のような少女だったし・・。
- 146 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 21:45:24 ID:tl5p1wuM0
-
俺はカバンを学校の駐輪場に止めてあった自転車の前かごに放り込む。
日増しに学校に来るやつの数が少なくなっている。
校門を出ていく3年生の数も目に見えて減っている。
これからどうしようか。図書館に寄ろうか。
前だったら迷うことなんかなかったのが、
ついつい考え込んでしまう俺がいる。
タカシと話してから、俺の心の中で何かがうずきはじめている。
次の日からタカシの姿は学校から消えた。
もうすぐはじまるレッズのキャンプに備え、自主トレに励んでいるらしい。
俺は行き先も決めぬまま、とりあえず自転車をこぎだす。
俺は・・まだサッカーがやりたいのか?
自分自身に問うても答えは帰ってこない。ただ何かが俺の中でうずく。
タカシはああいってくれたけど、プロのスカウトから
使い物にならないという烙印を押された俺が、
このあとどうやってサッカーを続ける?
大学だって願書の受付は終わり、早いところは試験がはじまっている。
いまからサッカーの強い大学に変更しようにも間に合わない。
受け入れてくれるところを探して、片っ端からクラブの門を叩いてみるか。
トライアウトだって一ヶ月前に終わってしまってる今、
俺を受け入れてくれるところがあるとは思えない。
じゃあこのまま、普通に大学に行く道を選ぶのか。
わからない。答えが出ない。
- 147 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 21:46:08 ID:tl5p1wuM0
- 結局、考えがまとまらぬまま、家に帰ってきてしまった。
家に入りいつものように部屋にあがろうとすると、おふくろが俺を呼び止めた。
ん?と声をかけておふくろのいる台所に顔を出す。
「モニカちゃんのお母さんから電話があったわよ。
何かお前に渡したいものがあるんだって。いってらっしゃい」
おふくろは正面から俺の顔を見据えていった。
俺は黙ってうなずくと家を出た。
モニカの家はそんなに遠くない。自転車で行ける。
俺は一目散に自転車をこいだ。
何も考えずに、頭の中を真っ白にして全力でこいだ。
汗が額から噴きだし、脇の下を流れ落ちていく。
モニカの家に着くと、インターホンを鳴らす。
すぐに返事があり、ちょっとするとお母さんが家のドアを開けて出てきた。
簡単に挨拶して、お母さんの後に続いて家の中に入る。
ああ。
まだ、この家には悲しみが満ちている。
それもそうだろう。モニカはお母さんにとってかけがえのない娘だ。
まだガキの俺には血を分けた肉親を失う悲しみは想像もつかないが、
きっとそれは想像もつかないつらさなのだろう。
部屋に通される。仏壇が置いてあった。
多少、この家のイメージとミスマッチな雰囲気もするが、
俺は自然とその仏壇の前に座っていた。
俺はお母さんに断ってお線香を上げさせてもらう。
葬儀の時と同じ写真が仏壇の中に飾ってある。
しばらく手を合わせた。
気がつくとお母さんがお茶とお菓子を用意してくれていた。
お礼を言って正座する。お母さんも俺の向かいに座る。
- 148 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 21:46:36 ID:tl5p1wuM0
- 「葬儀の時はせっかくお越しいただいたのに、
ゆっくりご挨拶もできなくて申し訳ありませんでした。
あんなにお世話になっていたのに、
きちんとお話しもしないまま、こんなに時間も経ってしまって。
ほんとうにごめんなさい」
俺は、いえ・・と口の中でもごもごする。
「モニカに親切にしてくださったそうで、ほんとありがとうございました。
あの娘が日本での生活になじめるか、非常に心配だったものですから・・
でも、ほんとうにみなさんによくしていただいたようで・・。
学校から帰ってくるといつもサッカーの話でした。
サッカー部の皆さんの話、あなたの話もたくさん聞かされました。
ごぞんじのとおり、サッカー以外は何の取り柄もない娘でしたので・・
そのサッカーを通じてお友達がたくさんできたんですから、
モニカもほんとうに幸せだったと思います」
モニカのお母さんは静かな語り口で話した。
「あ、ごめんなさい、そんな話をするために、お呼びしたのではないんです。
お恥ずかしい話なんですが、ようやくちょっとずつ
モニカの品物の整理もはじめましてね。
半年もなにやってたんだ、と言われてしまいそうですが、
やっぱりなかなか手がつかなくて・・いろいろ思い出してしまうものですから。
それで今日はどうしてもあなたにお渡ししたいものがありまして・・・」
お母さんは後ろを向いて棚から何かを取り出すとそれを机の上に置いた。
「これは・・・」
- 149 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 21:47:20 ID:tl5p1wuM0
- そこにはモニカにもらったのと同じデザインのお守り。
ただよく見ると前にもらったのとは色が違うし、書いてある文字も違うようだ。
「話をモニカから聞きましてね・・
サッカーの大会に出かけるのに交通安全のお守りを渡してしまうなんて、
ほんと恥ずかしいったらありゃしない・・・・
でも、あの娘はとうとう最後まで漢字はほとんど読めませんでしたからね・・」
そこまで話してこみ上げるものを抑えきれなくなったのか、
モニカのお母さんがハンカチで目頭をぬぐった。
「それであなたが出かけた後、一緒に神社へ出かけましてね、
今度は間違えないようにと私も付き添って。
何がいいのかとは思ったんですが、
やはりずっと健康でサッカーができるようにということで
無病息災のを買いましてね。
モニカも喜んで、今度は間違いない、と。
オランダからあなたが帰ってきたらすぐ渡すんだ、と言っておりました」
前に置いてあるお守りを手にとってみる。お母さんの話どおり、無病息災の文字。
「部屋を整理してましたらそれが見つかりましてね。
もっと早くお渡しできれば、よかったんですが・・。
死人からの贈り物というのも、あまり気分のよいものではないとは思いますが、
モニカのそんな気持ちもありましたので、
できればあなたにもらっていただければと思って今日はお呼び立てした次第です」
手の中でお守りはほんのりと暖かい。
お母さんの優しさなのか、それともモニカの魂なのか。
ありがとうございます、ぜひ僕にください。俺は返事をした。
- 150 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 21:47:40 ID:tl5p1wuM0
- 「私はアメリカ人と結婚しましたが、やはり根は日本人でしてね。
長いことアメリカで暮らしまして、特に不都合もなかったんですが、
やはり少し落ち着かない部分がどこかにありましてね。
主人の仕事の都合で日本に住むことになって正直、嬉しくて。
けれども、モニカはずっと子どもの頃からアメリカで育ってましたから、
日本という国にうまくなじめるかどうか不安だったんですね。
でもほんとうにみなさんのおかげで、
モニカもどんどん日本が好きになっていって・・
アメリカも好きだけど、お母さんの国も私、好きだよって言ってくれました。
ほとんどがサッカーを通じたおつきあいでしたが、
みんな、とっても優しい人ばかりだよって。優しい人のたくさんいる国だねって」
俺は何も言えずに聞いている。
違う、モニカがいつも笑ってそばにいてくれるから、みんな幸せになって。
だからみんなどんどん優しくなれたんだ。みんなモニカのおかげなんだ。
- 151 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 21:48:11 ID:tl5p1wuM0
- 「事故の前の試合、ワールドユースというんですか?
オランダの大会、テレビで見ました。
中継も遅かったんですけど、モニカが見るって言って聞かないものですし、
お友達のあなたが出るというので、私もついつい
つきあってしまって・・寝不足になりながら拝見してました。
モニカが本当に嬉しそうに、この子は本当に天才なんだよ、
最初は私からボールもとれなかったのに、めきめきうまくなったんだって。
絶対に日本を代表する選手になるから、お母さん覚えてるんだよって。
同じことを何度も言ってました。
モニカの言うとおり、ほんとうにすごい活躍で・・
モニカも大喜びでした。私の言ったとおりでしょうって」
俺の目からは涙がこぼれおちる。一度、落ちはじめた涙はもう止まらない。
耐えることなく俺の頬を伝い続ける。
モニカ。視界がぼやける。
「私から申し上げるようなことではないんですが、
これからもサッカーのほう頑張ってくださいね。
きっとそれがモニカが一番喜ぶと思うんです。
あの娘はほんとうに日本のサッカーが好きでした。
だから、これからも頑張って活躍してくださいね、勝手なお願いですけれど・・」
モニカ。
ずっと一緒にサッカーをしたかった。
サッカーの話をしていたかった。
俺が点を決めたときは、同じピッチで、ベンチで、スタンドで、
ずっと一緒に喜んで欲しかった。
モニカ。ずっとそばにいてほしかった・・・
俺は泣き続ける。
- 152 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 21:50:04 ID:XIiGn8L60
- ここでアレか・・・゚・(ノД`)・゚・
- 153 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 21:58:42 ID:pPH6VkcB0
- 母しゃべりすぎw
- 154 :U-名無しさん :2005/07/22(金) 23:14:18 ID:DkGnDXzA0
- >>141
すみません、私です、撤回します。
今日はU−31を読んだ時以来、熱い気持ちになりました。
- 155 :U-名無しさん :2005/07/23(土) 01:14:53 ID:Ch9ZOlOT0
- 泣けた
- 156 :U-名無しさん :2005/07/23(土) 01:17:10 ID:GD/JSt240
- タカシの話は良かった。母話はもうちと練れたような
- 157 :U-名無しさん :2005/07/23(土) 04:34:13 ID:kpIE/lYgO
- 泣いた…今日のはどうしようもなく泣けたよ…
- 158 :U-名無しさん :2005/07/23(土) 05:38:13 ID:H2z/kj1o0
- >>148-151
会話はいうまでもなく小説を作るうえでとても重要な条件なのですが、
その便利さゆえに使い過ぎて失敗を招くことがあります。
ストーリーの展開や登場人物の心情を会話を利用して
簡単に読者に伝えることができるために、しばしばというより、
ほとんどの小説が頻繁に使用しています。
地の文が面倒になったというだけで、たちまち会話に逃げるのです。
余りにも説明的に過ぎる白々しい会話が、日常使われている会話とは
程遠い会話が積み重なることによって、その作品全体が易きに流れ、
リアリティを失い、浮きに浮いてしまうのです。
- 159 :U-名無しさん :2005/07/23(土) 05:38:17 ID:7WolhQX6O
- 母親はともかくタカシの話はグッときた。ウホッ
- 160 :U-名無しさん :2005/07/23(土) 08:04:39 ID:QDjsVlqW0
- タカシはともかく母親の話はグッときた俺はどうすれば……
- 161 :U-名無しさん :2005/07/23(土) 08:21:57 ID:7WolhQX6O
- >160
ママンに気持ちを伝えなさい
- 162 :U-名無しさん :2005/07/23(土) 11:32:44 ID:IzSK5HR+0
- >>158
そりゃ一人称独白という形式も似たようなことが言えるわけで、
もともとこの作品には創作技術的にさほど高度な技術は使われてない。
せいぜい「腕のいい職人」レベルでしょ。
ところが最初のお題を上手にまとめそこなった時点で、職人としては失格なわけで、
もはや信者以外は読むのが難しいスレになってきてる。
そろそろスルーするのが賢明かと。
(´-`).。oO(このスレで話終わらなかったら、そんとき叩こうよ)
- 163 :U-名無しさん :2005/07/23(土) 12:22:28 ID:+UMYwfZO0
- つーかなんで批評オタが湧いて来てるんだ?そんな不満なら自分で書けよ、ご立派な物が書けるだろうしな。ここには二度と来るなカス
- 164 :U-名無しさん :2005/07/23(土) 12:55:39 ID:IzSK5HR+0
- ↑
ここが大勢が使う掲示板ということを忘れた典型的な信者の反応。
でも、面白いからといって煽らないようにね。
- 165 :U-名無しさん :2005/07/23(土) 13:00:18 ID:TyoF+Mln0
- なんか書き物の技術とか言ってる、気持ち悪いやつらが湧いてるな。
ここは、そういうスレじゃないからw批判したけりゃ、別の板でスレでもたててやってね〜w
- 166 :U-名無しさん :2005/07/23(土) 13:43:44 ID:3pIPKuN60
- ID:IzSK5HR+0
↑
こいつはスルーだな もうここには来るなよ。
どんな掲示板でも流れや暗黙の了解というものがある。
大勢が出入りするからといってそれを無視した書きこみは注意されるのが当然。
まぁ社会生活してない者には分らないかもな
- 167 :U-名無しさん :2005/07/23(土) 14:01:12 ID:fh+hGgWV0
- IzSK5HR+0 はスタジアムでサポートもせず「トラップする時の身体の向きが・・」なんて理屈こねてるクチだろ
- 168 :U-名無しさん :2005/07/23(土) 15:23:25 ID:TxoQyiWe0
- キモヲタの思惑通りになってるぞ、スルーしろ
- 169 :U-名無しさん :2005/07/23(土) 16:47:33 ID:RP8CRV8C0
- >>83の報告にあるように、
あっちの板から流れ込んできてるのかな・・・
- 170 :U-名無しさん :2005/07/24(日) 00:20:46 ID:pVbcpPNaO
- ウンコー!
- 171 :U-名無しさん :2005/07/24(日) 01:48:46 ID:205+0Szx0
- 「スレ違いのためスルー」
これで充分だ
- 172 :U-名無しさん :2005/07/24(日) 19:05:59 ID:CIjJHevi0
- つか、小説は技術じゃないよ。
何を書こうとするかの方がずっと大事。
面白さなんて、思い入れの有無で決まるようなもんだし。
- 173 :U-名無しさん :2005/07/24(日) 23:51:37 ID:PJESbsfD0
-
朝靄。冬の寒さが朝の公園を包んでいる。
かすかにもやがかったような空気。
部活がなくなっても、この日課だけは変わらない。
毎朝の公園通い。寒さが随分きつくなった。
白い息。かじかむ手足。
馴染むまではボールの感触が肌にちょっと痛い。額から肩、腿へ。
体が温まり、皮膚の細胞とボールの皮が馴染んでいくのがわかる。
その時、俺の視界の端に人の姿が目にはいる。
俺は相手の顔を確認すると、指を動かして取りに来い、というサインを送る。
相手が軽く笑うと、一気に走ってきて間合いを詰めた。
右側から取りに来た。俺は左の腿にボールを乗せて左へターン。
いいダッシュでそのまま回り込んでくる。
ちょっと卑怯だが、ボールを軽く蹴り上げて反転し、背中を入れさせてもらう。
体でしっかり隠してしまえば相手は手も足も出ない。
いったん足元に落としたボールを、右足ヒールの内側で跳ね起こす。
ボールが俺の足を蛇のように這い上がってくる。
しばらく左右に追い回していた彼女があきらめたように両手を広げた。
「一年ちょっとでめちゃくちゃうまくなったわね」
「この公園に人が来たのは久しぶりだよ。
もしかしたら、と思ったけど、本当にここへ来るとは思わなかった」
アメリカの女子代表が日本遠征に来ている、というのはニュースで知っていた。
もちろんシンディもメンバーに選ばれている。
「思ったよりも元気そうね」
軽い口ぶりに真剣な目。
「ああ。もう大丈夫だよ」
俺の返事にシンディの目尻がほっとしたように下がる。
そう、いまの俺は自分のすべきことがわかっている。もう迷いはない。
「ところでちょっと連れてってほしいとこがあるんだけど時間ある?」
- 174 :U-名無しさん :2005/07/24(日) 23:55:19 ID:PJESbsfD0
-
何の変哲もない道路。
まっすぐ伸びた見通しのいい道。
なんでこんなところで事故が起こったんだろう、と
シンディはやるせない気持ちになった。
モニカの家は葬儀の後訪問していたが、
事故の現場に来るのは今日がはじめてだった。
日が高くなるにつれ、徐々に車の通る量が増えてきた。
ガードレールの向こうをひっきりなしに車が走っていく。
持ってきた花を樋口が教えてくれた場所に置く。
二人で並んで立って、そっと手をあわせた。
亡き友の冥福を祈る。
ねえ、モニカ。さっき私、彼からボールとれなかったよ。
いやんなっちゃうよね。
一年前は私たちに手も足も出なかったのにさ。
きっとこうやって男との差が開いていくんだって納得しちゃった。
まあ、女子相手なら絶対に負けたりしないけどね。
オリンピックもワールドカップも獲ってくるから、応援するのよ。
メダルとかとったら見せに来るからね。
シンディはゆっくりと友の冥福を祈ると、目を開けた。
- 175 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 00:12:33 ID:q6WUIrSy0
-
隣の樋口はまだ目を閉じたまま、手をあわせている。
真剣な横顔。きっと話すことがたくさんあるのだろう。
話し終わるのを静かに待とう。
横目で樋口を見る。その時シンディは樋口の背中が妙に光っているのに気づいた。
私の目が変なのかしら?樋口の背中が白い光に覆われている。
よく目を凝らすと樋口の背中から羽が生えている。白い翼。
シンディの目の前で、羽の像は急激に薄くなりあっという間に消えた。
あまりの不思議な光景にシンディは声も出ない。
やがて樋口が目を開けた。シンディの視線に気づき、
怪訝そうな顔で、どうかした?と尋ねる。
シンディは少し考えたが、やがて黙って首を横に振った。
ううん、なんでもない。
樋口は納得したように笑うと、じゃあいこうか、とシンディを促す。
シンディは樋口と並んで歩きながら、いま自分が見たものについて考える。
人の背中から羽が生えるなんてありえない。
私の目が幻覚を見たに決まっている。
けれども。シンディはそっと隣の樋口の顔を盗み見る。
彼はあの時、何かを取り戻したのかもしれない。
自分がいま見たものの正体。それはきっと誰にもわからない。
- 176 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 00:18:11 ID:8F2IK4ms0
- 憑いてたか…
- 177 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 00:39:32 ID:wflIjf2u0
- 今日読み始めたけどすげえ面白い
- 178 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 00:51:57 ID:OveWqeqYO
- おおぉぉぉおぉぉ
シンディきたああぁぁぁぁぁぁぁああ
。゚(゚つД`゚)゚。
- 179 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 01:12:01 ID:BPqWV7To0
- 本になったら買います
- 180 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 07:07:51 ID:If0cDQ8e0
- 戻ったんだ・・ 本来の樋口に (;´Д⊂)
白い翼はおれにもあるかな・・
- 181 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 07:30:39 ID:1n5n4zRl0
- >>180
あるあるwwww
- 182 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 07:37:31 ID:WTgAF5P6O
- お、日曜夜に新作が。
前スレ21さんは仕事とか大丈夫なんかな?
- 183 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 08:15:46 ID:bd+QpIwB0
- 樋口のスタンド能力?
オーバーソウル?
- 184 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 09:09:16 ID:PYCjZaLz0
- >>173
>皮膚の細胞とボールの皮が馴染んでいく
樋口 感覚を取り戻したのか!・゚・(ノД`)・゚・。
- 185 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 15:18:29 ID:3yIWJu+fO
- >>184
いや、それはいつもやっているリフティングで
「のってきた」って表現で、「忘れていた感覚」ってんじゃないと思う。
- 186 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 16:07:22 ID:T2ob1Wjj0
- シンディヒロイン候補に急浮上
- 187 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 22:21:30 ID:k4Uhy4530
- がんがれ樋口
- 188 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 23:43:40 ID:qVSdo55u0
-
俺は新宿駅近くの喫茶店の入り口に近い席に座っている。
静かな感じの店で、周りの客を見ても会話してるグループは少なく、
ほとんどがひとりで黙って本や新聞を読んでいる。
新宿に遊びに来たことぐらいはあるが、
こういう感じの店に入ることはないので、
大人の中にいきなり放り込まれたようで微妙に居心地が悪い。
さっき無表情な店員の置いていったアイスティーのグラスが、
冬だというのに俺と一緒に汗をかいている。
岩崎のところに相談にいったのは一昨日のことだった。
俺はストレートに自分の気持ちを岩崎に話した。
サッカーを続けたい。
いまさら進路相談なんて虫のいい話だとは承知していたが、
そういう相談ができる大人は俺の周りには岩崎しかいなかった。
俺のわがままな話に怒っているのか、それとも何も感じていないのか、
岩崎は表情を変えずに黙って俺の話を聞き、最後に一言、
「明日授業が終わったら俺のとこに来い」とだけ俺に告げた。
三年近く付き合っても、岩崎が腹の中で何を考えてるかわからない。
翌日、職員室に顔を出した俺に、岩崎は一枚の紙を渡した。
手書きの地図だった。新宿駅近くの喫茶店の場所が示してある。
「今日の二時にその店で待ってろ。
お前の相談にのってくれそうな人にお願いしておいた。
その人に相談してみろ。俺ができるのはこれくらいだ」
俺は岩崎に礼を言うと地図を持って職員室を出た。
そしていま、地図に書かれた喫茶店で待っている。
しかしここへ来ることになっている誰かは俺の顔をわかっているんだろうか。
このまま待ちぼうけ、ということはないだろうな。
俺が少し不安になったとき、
「おう、待たせたな。すまなかった」
顔を上げるとそこには意外な人物の顔があった。
- 189 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 23:45:28 ID:qVSdo55u0
- 「小熊監督・・」
「もう別にお前の監督ではないから、普通に呼んでくれ。
あ、ホットコーヒーひとつ」
通りかかった店の人に口早に注文すると、
小熊さんはコートを脱いで脇に置くと、俺の前に座った。
「ワールドユースの時は・・お世話になりました」
「いや、こっちこそ。みんなよく頑張ってくれた。
俺からも礼を言いたい。
樋口とは最後、落ち着いて話できなかったからな」
小熊さんの複雑な表情。
そうあの時の俺は、モニカの葬儀に出るため、
チームメートに挨拶もできずにチームを離れたのだった。
小熊さんとも顔を合わせるのはあの時以来ということになる。
「で、樋口。今日、俺がここに来たのは、
岩崎から電話がかかってきて、
樋口の進路について相談に乗ってやってくれって言われたからだ」
確認しておきたいのはひとつだけだ。
お前、ほんとにサッカーやりたいのか?」
小熊さんの目が俺を射る。身がすくむほど鋭い。
目をそらさず、正面から小熊さんの目を見て俺は答える。
「やりたいです」
小熊さんは口の端をちょっとあげながら、
俺の言葉の余韻を楽しむように、二、三度満足げにうなずいた。
- 190 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 23:46:23 ID:qVSdo55u0
- 「わかった。これから俺が説明するから話を聞け。
お前がこの先サッカーを続けたいのなら選択肢は大きく分けて二つだ。
どこかのクラブに入るか、大学のサッカー部に入るか、だ。
お前自身もサッカーやってるんだから承知してるだろうが、
もういまの時期、どこのJクラブも編成は終わっている。
早いところではもうキャンプインして、
チーム作りに取りかかろうっていう段階だ。
クラブってのは、何年か先の姿も見据えてチームを編成している。
即戦力補強として獲得する外国人選手とかは別枠だが、
日本人選手については、メンバーの年齢構成、ポジションごとのバックアップ、
下部組織から入ってきそうなやつ、そろそろ引退しそうなやつ。
諸々のことを考慮に入れて、綿密な計画に基づいて編成されてるんだ。
ワールドユースで活躍したお前の存在は魅力だが、
プロの世界ではまだ海のものとも山のものともわからぬ新人選手だ。
毎年ユースで一番のやつや高校選手権で大活躍したのがプロ入りする。
どいつもその年代じゃ、怪物とか超高校級と評判になってたやつだ。
でもシーズンが終わったとき、リーグどころかカップ戦で
出番をもらえればルーキーとしては上出来の部類だ。
一分もトップの試合に出られないやつもごろごろしている。
いくらお前の名前をみんな知ってても、
チーム編成が固まったこの時期になって、
そんなあてにならない新人選手と契約しようと言うクラブはまずない。
体制が柔軟な小さいクラブで、補強の見込み違いとかで
予算が余ったところとかだったら、おまえを取りに来る可能性はあるが、
それはあくまでも失敗した補強の穴埋め扱いだ。
それでも新人に手を出すなんていったら、
それは相当現有の選手層が薄くて困ってるところだ。
よくてJ2の中位レベル、普通ならJFLクラスが妥当だろう」
- 191 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 23:47:07 ID:qVSdo55u0
- J2、JFL。スタート地点はどこでもいい。
もう一度、自分自身の力がどこまであるのか試してみたい。
そんな気持ちが表に出てたのか、小熊さんは俺の顔をにやりと見て笑うと、
「サッカーさえやれればどこでもいいって顔をしてるな。
そういう気持ちを持っていることは大事だ。忘れるな。
だが、岩崎から頼まれた以上、俺はシビアに考えるぞ。
J2やJFLの魅力は実戦経験を積めるチャンスが大きいことだ。
その意味ではJ2で早くプロの試合を知るという選択肢はある。
だが俺は今回は薦めない。
なぜか?お前はプロを目指すのだから覚えておくといいが、
プロというのは契約に縛られるものなんだ。
プロになるために、プロだからこそ、契約しそれに拘束される。
今年慌ててJ2クラブと契約を結べば、お前は今後それに縛られる。
お前が成長し力をつけてJ1へ行きたいと思っても、
クラブがそう簡単に出すとは限らない。
昇格が見える位置にいるクラブなら一年、二年待たされるかもしれん。
俺はお前の能力を高く買っている。
いますぐJ1でやれる力があると思っている。
だからお前の成長の足枷になる可能性のある選択肢は薦められない。
決して俺はJ2を馬鹿にしている訳じゃない。
だがプロのサッカー選手とは、
レベルの高いリーグへ、一つでも上のカテゴリへ、
自分の能力をフルに発揮できるチームへ入るために全力を尽くすものなんだ。
それがプロだということはお前もよく頭に叩き込んでおけ」
- 192 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 23:47:53 ID:qVSdo55u0
- 小熊さんの険しい視線。プロの世界。俺の背筋はさっきから伸びっぱなしだ。
「じゃあJ1でって話になるが、さっきいったように
J1のクラブぐらい体制がしっかりしてれば編成はもう終わってしまってる。
仮に抱えてる選手数に余裕があったとしても、
プロ契約っていう以上、ただじゃないからな。
お前に直接払う年俸だけじゃなく、
選手を一人多く抱えることで付随して様々なコストがかかる。
いくつかの裕福なクラブを除けば、
どこも運営費には四苦八苦してるのが現状だし、そう簡単に話は来ないだろう」
俺自身のためにこの半年は必要な時間だったとは思う。
だが、俺が貴重な時間をロスしたことを改めて痛感させられる。
「ところで、岩崎に聞いたんだが、お前、学業優秀なんだって?」
「はぁ?」質問の意図が読めずに思わず気の抜けた声を出してしまう。
「大学受けるつもりでいたそうだが、どこ受ける気だったんだ?」
俺は、都内の大学の名前をあげる。
岩崎は軽くひゅーっと口笛を吹いた後、
「サッカー部は強いのか?」
「確かおそらく都の二部か、三部あたりだったかと」
あまり強くないのはインターネットで調べて知っていた。
「あそこの監督は・・そうか樺沢さんか。ますます具合がいい」
小熊さんの顔に楽しそうな笑顔が浮かぶ。
あまりに楽しそうなので、思わずきょとんと顔を見ていると、
「樋口、お前、俺を信じられるか?」
急に真顔に戻って身を乗り出す。
はい、とうなずく。
れっきとしたJクラブの監督が、一高校生のために
わざわざ時間を作ってくれていることの重みは理解しているつもりだった。
「じゃあ、これから俺がいいと思う方法について説明するからよく聞け」
そして、小熊さんはこれから俺がやるべきことについて話しはじめた。
- 193 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 23:52:34 ID:pyO90PKl0
- 今日はここまでか?
俺は大学とか詳しくないんだけど、これも元ネタあり?>樺沢
- 194 :U-名無しさん :2005/07/25(月) 23:56:31 ID:Q3dPjvUF0
- >>193
都の2,3部リーグで口笛を吹かれるくらいの
偏差値の大学っていうと早稲田かな?
- 195 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 00:00:37 ID:ofYkroWj0
- おれも早稲田が思い浮かんだ
ひょ(ry
- 196 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 00:59:04 ID:bm4yndI40
- つーか早稲田しかないよなぁ
- 197 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 01:10:45 ID:T+nEVBdO0
- 樋口はサッカー上手くて頭良くてイケメンか…
- 198 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 01:16:30 ID:lX0NdaYU0
- いや、だって不細工だったらモニカやシンディーも声掛けようとしなかっただろうし。
- 199 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 01:24:19 ID:lX0NdaYU0
- 早稲田は都リーグ2部までは落ちてないよね。
ちなみに今年の都2,3部で頭よいとこだと
東大、東工大、一橋、東京外語、上智あたりですね。
こんなとこでリアリティー求めてもしょうがないんだろうけれどw、漏れは上智に一票。
- 200 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 07:09:02 ID:PC83w8fw0
- >樋口はサッカー上手くて頭良くてイケメン・・ヽ(`Д´)ノ
- 201 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 08:09:15 ID:P1erigrJ0
- >>188
樋口はシンディの茂みに顔をうずめ
まで読んだ
- 202 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 12:30:19 ID:uesMlboW0
- 本になったら俺も買うだろうなぁ
- 203 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 12:33:51 ID:uesMlboW0
- >岩崎は軽くひゅーっと口笛を吹いた後、
岩崎いたんだw
- 204 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 13:14:13 ID:GPrNrCCq0
- >>203
岩崎じゃなくて小熊の間違えでしょ。
- 205 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 19:07:43 ID:Nk6jjW1R0
- >>199
それじゃパンチがないよ。やっぱ「東京大学運動会A式蹴球部」でしょ!
意外なとこで東京朝(ry
- 206 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 21:01:08 ID:8aZpK7tG0
- もう物語も終盤だなんて辛い・・。
ずっと読み続けていたい小説だし、何より樋口にホレ込んでしまった
自分としてはもう会えなくなるなんて寂しい。
どうかじっくり書いて下さい。
- 207 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 23:09:14 ID:PHPx04iB0
-
結局、俺は小熊監督のアドバイスに従って、
FC東京の練習生としてサッカーを続ける道を選んだ。
大学の合格発表が終わり、無事合格した翌日から俺は、
小平にあるFC東京のグランドに通いはじめた。
練習着こそ貸してもらえたが、俺だけが背番号もユニフォームもない。
もちろん公式戦には出られない。それが俺の新しいスタートだった。
練習に参加してしばらくはプロのスピードにとまどった。
かつてワールドユースでJの選手と一緒にやっていたとはいえ、
プロのスピードに対しては、半年以上のブランクがあった。
ピンボールマシンのようにすさまじいスピードで、
ピッチを移動するパスについていくのがやっとだった。
だが練習に参加し続けるうちに、いい意味で慣れてきた。
徐々に感覚が戻ってきたといってもいい。
少しずつ去年オランダで体に刻んだプレーの記憶が甦ってくる。
あの時のメッシのスピードを俺の体は忘れてはいなかった。
大丈夫、このスピードなら俺は慣れていける。
やがて周りが見えてくる。四角いピッチが自分の世界になっていく感覚。
俺の中で少しずつ手応えがわいてきた。
久しぶりに味わう自分が成長している実感。
もちろん練習の中心は、レギュラーとベンチ入りするメンバーだ。
練習生の俺は、あくまでもその相手役。
調整のための練習試合でも、他のみんなが自分のポジションについた後、
空いているポジションを埋めるのが役割だ。
サイドハーフ、サイドバック、ボランチ、なんでもござれだ。
ピッチに立っているプレイヤーの中で一番下の存在。
それでもプロの中に混じってサッカーをすることができる喜びで、
俺は楽しくてしょうがなかった。
- 208 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 23:09:35 ID:PHPx04iB0
- やがてJリーグが開幕。春が来て四月になり、俺は大学生になった。
大学のサッカー部に必ず入部して活動すること。
これは小熊監督に必ず守るように何度も言われた。
「正直、お前の大学のサッカー部のレベルはさほど高くはない。
だからそこで練習する時間は無駄だ、という考え方もある。
だが、お前は大学のサッカー部に加入して活動しなければならない。
理由はふたつある。
ひとつは、せこい話だが特別指定の関係だ。
特別指定とはそもそも学校の部に在籍しながら、
プロの試合にも出られるという制度だからな。在籍してなくちゃ話にならん。
ふたつめは、そこでお前が技術以外の何かを学べると考えるからだ。
いま、お前はサッカーへの気持ちを取り戻している。
だが俺の目から見ると、それはまだろうそくの炎のように
弱く頼りないものだ。なにかアクシデントがあったら消えてしまうような。
誤解するな、お前の気持ちを疑ってるわけではない。
だけどお前には単に高いレベルを追うだけでなく、
自分のサッカーへの気持ちと向き合うような時間も必要だということだ。
大学ではなんでお前はサッカーをやりたいのか、よく考えてこい」
- 209 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 23:10:10 ID:PHPx04iB0
- 俺は入学式が終わると、すぐにサッカー部への入部届を出した。
監督の樺沢さんには名前どおりかばみたいな穏和そうな人で、
小熊さんから話が通っていたらしく、
「うちのチームをよろしくお願いしますよ」と
こちらのほうがお願いをされてしまった。
だが樺沢さんがそんなお願いを俺にした理由がすぐにわかった。
うちの学校のチームがそんな強くない。それは事前に承知していた。
だがその割にうちのチームは部員数が多いのだった。
一応、体育会系ということになってるが、
樺沢監督の人格そのままに間口が広いというか来るもの拒まずというか。
監督の指示で入部した俺が初日の練習でやることになったのは、
俺と一緒に入った新入部員たちのコーチ役だった。
しかも経験者ですらない。
大学入学を機にサッカーをやってみたいという部員のグループだった。
「彼らにサッカーの楽しさを教えてあげてください」
俺を呼んだ樺沢監督は、彼らのいる場所を示しながら俺にそう言った。
「やり方は君に任せますから。
彼らがサッカーが大好きになるように、練習をしてください」
そう言われた俺は途方にくれてしまった。
高校時代も、一応後輩にアドバイスぐらいはしたことがある。
だがそれは指導といえるようなものでなく、
見て気になったことを口にした、という程度のものだ。
グループの前に立ってみると、みんな緊張した表情で俺を見ている。
サッカーだったらまあなんとか教えられるかもしれない。
でもサッカーの楽しさを教えるってのはどうすればいいんだろう?
- 210 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 23:11:27 ID:PHPx04iB0
- 迷ったがあげく、俺はとりあえずキックを教えることにした。
ひととおり適当に蹴らせてみると、みんな運動神経がそこそこあるらしく、
ボールを蹴ってる場所はメチャクチャだが、
脚力任せの自己流でもまあまあいい球が蹴れている。
次に順番に一人ずつ前に立ってもらって、俺のすぐ前でボールを蹴ってもらう。
ひとりひとり声をかけながら、
ボールへの足のあたり方を直接足を触って動かしながら教えていく。
すぐにボールを蹴る音が、抜けのいい澄んだ音に変わった。
「うぉー、すげえ。俺があんな速い球蹴れちゃったよー」
「全然レベル違うけど、ロベカルってこういう感じなのかなぁ」
まるで小学生のように自分の蹴ったボールに興奮して喜んでいる。
何度も何度も本人が嫌にならない程度に、足とボールの当たりを見てあげる。
かかる時間は個人差で違ったが、みんな自分の蹴る音が変わる感覚が掴めたみたいだった。
あとはしばらくほうっておけばいい。俺はしばらく自由に練習するように言った。
自分でいろいろ試してみて、
感覚をもっと確かなものにしたり、逆に感覚がなくなってしまったり。
どんな方向であれ、自分で思い思いに試すようになる。
適度なところで休憩をとる。汗をかいて初顔合わせの緊張も解けたのか、
そのまま話が弾む。俺もその輪の中に入る。元々は同じ一年生だ。
- 211 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 23:15:25 ID:PHPx04iB0
- 「俺、ずーっとサッカーやりたかったんだけど、
中学・高校とサッカー部なくてさあ。
子どもの時から親がやらせてくれてたらなあって思うよ」
「俺もそう。中学んときにサッカーやろうかなあって思ったけど、
みんな少年団とかでやってきてるじゃん。
なんかレギュラーなれなくてつまんなそーだなって思って、
他の部行っちゃったんだよなあ」
笑いの輪。
「でもほんと幸せだよなあ。もうサッカーなんて縁がないと思ってたもん。
張り紙に「初心者大歓迎」ってあるから、
これが最後のチャンスって思って入ってみたんだけどよかったなあ」
「しかも教えてくれるのが現役のJリーガーだもんなあ」
おやおや随分話が広まるのが早いな、と思ったが、
その言葉を聞いたみんなが俺の顔を見て驚いている。
そこで俺は簡単に自己紹介する。
聞いているうちにワールドユースを思い出した人もいたらしく、
「あの樋口?」俺は笑ってうなずく。
「プロとかだとやっぱりテクニックとかも全然違うんだろうなあ」
「そりゃそうだよ。プロになるやつなんて俺たちから見たら化け物さ」
俺は笑って立ち上がり、ボールを足下に置く。
輪になって周りに座ってる連中から拍手がわく。
- 212 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 23:17:27 ID:PHPx04iB0
- ボールを転がしながら最小限のヒールの動きでリフトアップ。
すばやくヒールを差し込んでかち上げ、腿に持ちかえる。
周囲からはボールが重力に逆らって、
ひとりでに浮き上がってきたように見えるだろう。
頭、肩、肩胛骨、腿、膝、足首。
俺はテンポをあげて、ボールを動かしていく。
歓声がため息に変わり、やがてそれさえも聞こえなくなる。
みんながボールの動きに夢中になって見入っているのがわかる。
両足を交互に使ってダブルヒール。
左足で体の前に持ってきて、浮かせたボールを右足でまたぐ。
どんどんボールが柔らかくなっていく。
いや違う。柔らかくなっているのは俺の足。俺のボールタッチ。
子犬が飼い主にじゃれ付くように、ボールが俺の周りを動く。
いつしか俺は笑っている。ボールと遊ぶのって楽しいよな。
こんなに楽しいものなんだよな。だから俺はサッカーが好きなんだ。
そのまま続けていると、練習していた他の部員たちも、
いつのまにか練習をやめて俺のリフティングを見ているのが見えた。
そう。前もこんな時があった。
高校の校庭。モニカとはじめて会った日。
みんなの見る前でこんなふうにモニカもリフティングを見せてくれたっけ。
モニカ。お前からしたらきっと俺たちって下手に見えたんだろうな。
でも、全然そんな気持ち顔に出さずに、いつも親切に教えてくれたよな。
俺はお前にサッカーの楽しさを教えてもらったんだな。
だからやっぱり、今度は俺がみんなにそういう楽しさを伝えてみたいな。
心地よいボールの弾む感触。俺はボールを蹴りながらモニカと話す。
モニカ。一緒にいたときはわからなかったことが、あとでわかるってあるんだな。
- 213 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 23:19:01 ID:HqKQPsKG0
- やっぱり泣けた(つД`)
- 214 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 23:24:10 ID:UgnBoOYw0
- 樋口ぃ・゚・(つД`)・゚・
- 215 :U-名無しさん :2005/07/26(火) 23:56:43 ID:wIEe7UVD0
- 今日、また最初から全部読み直したよ。
情けないけど、涙せずには読むことができななかったです。(つД`)
21さん、本当にありがとう。
- 216 :U-名無しさん :2005/07/27(水) 01:14:21 ID:OcWoZJtP0
- ええ話や(つД`)
- 217 :U-名無しさん :2005/07/27(水) 01:36:31 ID:foTpEebSO
- なんつーか、鳥肌たった。
ありがとね、21さん。
- 218 :U-名無しさん :2005/07/27(水) 13:02:18 ID:1tlzKFMB0
- なんつーか、鳥肌実
ありがとね、49歳
- 219 :U-名無しさん :2005/07/27(水) 19:43:56 ID:Gx9XoqIR0
- >>218ドゾー
つ書き込まない勇気
- 220 :U-名無しさん :2005/07/27(水) 22:39:42 ID:sK8RkYaw0
-
練習を終えた選手たちが、
グラウンドの外で待ち構えていたファンの求めにこたえ、
サインや写真撮影に応じているのが窓から見えた。
ゴールデンウィークも終わったばかりの平日の昼間だというのに、
少なくない数のファンがいるのは、
近くの大学との練習試合が組まれていたせいもあるのだろう。
元山は練習試合が終わるとすぐにクラブハウスのほうへ引き上げていた。
小熊監督が戻ってきたのは、さっき窓越しに見えた。
もう少ししたら顔を出してくれるだろう、そう思ったとき、
「どうもお待たせしました」
体育会系のような大声とともに、小熊が部屋に入ってきた。
古巣に戻ってますますエネルギッシュになったようだ。
「いえいえ、こちらこそお疲れのところ無理をいってすいません」
「よく考えれば久しぶりだね。
でも元山さんが代表の取材に行かないなんて珍しいね」
日本代表はいま、ワールドカップのメンバーの
最終選考も兼ねた欧州遠征に出ている。
FC東京からも加地、茂庭、土肥、今野の四人が遠征に参加している。
その間リーグ戦は中断となっているが、
代わりにナビスコ杯の予選リーグが開催されている。
FC東京も週末の土曜日には埼玉スタジアムで、
浦和レッズと対戦することになっている。
今日の練習試合は週末の試合に向けて、
四人が抜けた状態でのチームのシステムを確認する意図があったはずだ。
- 221 :U-名無しさん :2005/07/27(水) 22:43:05 ID:sK8RkYaw0
- 「たまには日本に腰を落ち着けるのもいいかなって」
元山は軽いジョークを口にしたが、
「どうせ樋口が気になるんだろう?」小熊はすっかりお見通しだ。
「あはは、、、で、どうするんですか、監督。
いまの試合ではスタメン組に入ってましたけれど」
「使うよ。見てのとおりだ」
小熊はあっさりと言い切った。自信にあふれた口ぶり。
その自信もうなずけた。さっき見た練習試合。
冬、埼スタで見たのとは別人の樋口がそこにいた。
ワールドユースのときの、
極限までエッジが立っていた状態には及ばないとしても、
プレーする姿にあのオランダでの面影が戻っていた。
埼スタでの自信を喪失し、途方にくれて立ち尽くしていた状態から、
よくぞここまで、と元山は思わずにいられなかった。
日本に残った自分の判断はまちがっていなかった、と確信できた。
「いま、うちは前目のメンバーに怪我人が多いのはご存知のとおりだ。
長いシーズン考えると、今の時点であまり彼らに無理はさせたくないんでね。
もちろん、樋口に使える目途が立った、というのが一番大きいが」
- 222 :U-名無しさん :2005/07/27(水) 22:44:03 ID:sK8RkYaw0
- 「で、状態はどうなんですか?」
元山がずっと気にしているのはそこだった。
元山には十分復調しているように見えたが、
小熊のプロの目はいまの樋口をどう見ているのか。
「心配はいらない。
樋口個人の状態としては100%とはいわないが、9割以上戻ってる。
ゲームに出たとき、まだうちの戦術に馴染んでいないとか、
周囲との連携とか意思疎通の面では多少の不安はあるが。
それは時間と実戦で解決するしかないからね。
俺としては自信を持って送り出せる。心配はしていない」
小熊はしっかりと元山の目を見て答えた。
「どうですかね、やってくれますかね」
素人の浅はかな質問。だが、小熊は落ち着いた様子で答えた。
「心配はいらないよ。本来の姿に戻ったならば、
はっきりいってやつはモノが違う」
小熊の力みなぎる言葉に元山はふっと力が抜けた。
元山のほっとした表情に、小熊が嬉しそうに目尻を下げて笑い返した。
通じるものがあった。小熊が言うのだったら間違いない。
大丈夫、樋口は闘う心を取り戻した。
あの力強さと熱さにあふれた樋口が帰ってくる。
- 223 :U-名無しさん :2005/07/27(水) 22:44:38 ID:sK8RkYaw0
- 「でも監督、びっくりしました。
入学してすぐの樋口を特別指定かけるなんて。
協会のほうとの交渉、大変だったんじゃないですか?」
元山を日本に残らせることを決意させた一枚のリリース。
連休の合間の平日に出されたそれは、
FC東京が樋口を特別指定として受け入れる旨の発表だった。
規定上問題がないとはいえ、所属チームに加入してさほど間がなく、
大学での実績がまったくない樋口の指定は異例なのは事実だった。
「まあ他のクラブが一度見限った選手だからできたのは確かだな。
どこかが過去に本気で獲りに来てたら、さすがに道義上無理だった。
他のクラブもオファーを出さなかった以上、
うちが動いても、とことん突っ張ることはできなかったわけだな。
うちも練習生としてチームに三月から合流させて
実績を作っておいたのも大きかったし、
それに協会の中にもやはり樋口の復活を望む人がいたしね。
少々骨は折れたがなんとかなったわけだ」
小熊のことだ。相当周到な根回しの元に動いたのだろう。
「しかしそれにしても早かったですね。
どうしてもナビスコで試してみたかった、ということですか」
元山の質問に、小熊がにんまりと笑った。
「それもあるが、一番大きいのはこの時期じゃないと
まにあわなかった、ということだな」
まにあわない?と首をかしげる元山に
「ワールドカップに決まってるだろ」
元山の体が雷に打たれたように硬直する。
- 224 :U-名無しさん :2005/07/27(水) 22:44:45 ID:eDYfNBSD0
- J1デビュー クル━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
- 225 :U-名無しさん :2005/07/27(水) 23:00:29 ID:0WH86QfL0
- おおおおおおおおおおおお
樋口復活キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
- 226 :U-名無しさん :2005/07/27(水) 23:35:45 ID:rSPtXhiV0
- 瓦斯中毒で潰れるらしいね>樋口
- 227 :U-名無しさん :2005/07/27(水) 23:54:46 ID:2AIEIoHp0
- で、うちとの試合で活躍するわけか?
- 228 :U-名無しさん :2005/07/27(水) 23:56:20 ID:M6DvTT0nO
- 読者は判っちゃいるが、改めて言われると鳥肌立つ
ワールドクラスなのか樋口
マジコ樋口
- 229 :U-名無しさん :2005/07/28(木) 00:30:42 ID:vcD6DFxuO
- レッズか…
タカシと対戦する訳か。
タカシキタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!!
- 230 :U-名無しさん :2005/07/28(木) 01:11:50 ID:/jZq0soE0
- ナビ一試合出てドイツメンバー?
- 231 :U-名無しさん :2005/07/28(木) 01:25:28 ID:dDZesF3OO
- さすがにレッズFW陣を差し置いて、タカシの出場はないかな〜
ナビス子とはいえまだ入団したばかりだし
- 232 :U-名無しさん :2005/07/28(木) 03:29:06 ID:T5zcNMbSO
- >>230
それは言わない約束でしょ
楽しもうよ物語を。
- 233 :U-名無しさん :2005/07/28(木) 07:47:00 ID:6VRTbKi90
- おれのモノも硬直しまつた
- 234 :U-名無しさん :2005/07/28(木) 07:58:42 ID:JIrwxARU0
- >>230
ヒント:協会枠
- 235 :U-名無しさん :2005/07/28(木) 23:49:36 ID:IQlvmtHC0
- そんな元山の反応を小熊は楽しそうに眺めてから、
「ここからは冬におごってもらったコーヒーのお礼だからな。
オフレコ扱いで頼むぞ、絶対に書くなよ」
元山は何度も首を縦に振る。
「ジーコはワールドユースのときから樋口がお気に入りなんだ。
あいつのプレーを見て代表に呼びたがってたのは事実なんだ。
事実、昨年の夏の東アジア選手権への抜擢を考えてたぐらいなんだ。
知ってるとおり、あの頃の樋口は
すっかり調子を崩してたからさすがに実現せずに終わったがな。
ただ今年に入ってからも、彼はどうした、どこのクラブへ行った?と
樋口のことは何度か気にしていたらしい。
ワールドカップは登録メンバー全員の総力戦になる。
俺もユース代表の監督やってたからわかるんだが、
スタメンとオプションとしての控え、怪我人が出たときのバックアップを
考えていくと、ほとんどのメンバーは自然と決まってくる。
たいていは何度もテストを重ねてきてるわけだから当然のことだ。
だが最後の一人か二人。これはそれ以外のやつらとは選ぶ基準が違う。
監督として万が一のときに頼りたいやつ。そんなやつを選んぢまうもんなんだ。
トルシエが全然呼んでなかったゴンと秋田を土壇場で召集した他にも
そんな例はあちこちに転がっている。
指揮官にしてみれば、ベンチに樋口みたいな
自分好みのオプションを置いておきたい気持ちというのが絶対にあるんだ。
ここで樋口をトップチームの試合に出して完全復活をアピールしておけば、
可能性はほんとに少ないが、ジーコの気持ちが変わる可能性がある。
最後に誰を入れるかはほんとうにひどく迷うもんなんだ。
そのとき、かつて惚れこんだ選手が使えるとなったら
心が動く可能性は大有りだ」
元山は小熊がそこまで考えていたことに驚く。
- 236 :U-名無しさん :2005/07/28(木) 23:50:03 ID:IQlvmtHC0
- 「だがJで1試合もでてないんじゃ、さすがにジーコも呼べない。
しかし一度でも試合でそのプレーを見せておけば、
呼ぶ側にしても最低限の言い分は立つ。
正直、樋口の今後を長いスパンで考えるなら卒業した時点で、
J2かJFLの知り合いに話をしてみる、という選択肢もあった。
ほとんど編成が終わっている時期だったからチームは選べないし、
主力としては扱ってもらえないだろうが、
樋口の力なら何とかするだろうとは思った。
だが、仮に活躍できたとしても、ジーコはJ2の選手をまず呼んでくれない。
ワールドカップに召集されるためには、J1で試合に出るしかない。
J1で確実に試合に出すことを考えたら、他のとこには頼めない。
自分とこで抱えるしか手はなかった。
そのうちも樋口とのプロ契約をする予算は残ってない。
それでもトップの試合に出すとなったら、
入学後即座に特別指定を受けるしか手がなかったんだ。
もちろんほんとうに呼んでもらえる可能性は低い。
代表初召集がワールドカップだなんて常識じゃありえないからな。
だがそれでも俺は樋口のために、
ワールドカップに出るどんなかすかな可能性でも残しておきたかったんだ。
樋口もきっちりトップフォームに近い状態まで戻ってきた。
これでだめなら今回のドイツは縁がなかったとあきらめるしかないよ」
ほんとうに嬉しそうに樋口のことを話す小熊の顔を見て、元山はすべてを悟る。
小熊はあの埼スタで樋口を見限ったのではなかった。
- 237 :U-名無しさん :2005/07/28(木) 23:51:21 ID:IQlvmtHC0
- 私はどうしてわからなかったのだろう。
自分の手で見つけ出し、磨き上げ、そして自分の期待に応えてくれた才能。
小熊こそ、樋口広樹という才能に一番ほれ込んでいる人間なのだ。
そんな小熊が樋口に見切りをつけるはずがなかった。
彼に立ち直りの兆しが見えたことを知ったときから、
小熊の頭の中には練習生としての受け入れから
ナビスコで使うまでのスケジュールが綿密に描かれていたに違いない。
樋口がワールドカップメンバーに選ばれるかもしれないという
日本中で誰も想像しなかったこと